相続した不動産を売るときの相談先|税理士・司法書士・不動産会社・窓口の使い分けと聞く順番

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結論:相続した不動産を売るときの相談先は、税金は税理士、名義(相続登記)は司法書士、価格と売り方は不動産会社、と役割で分かれます。最初に決めるのは「どこに頼むか」ではなく、相続税の申告期限(10か月)と、売却時の税金の特例の期限から逆算した順番です。家族の合意がまだでも、財産の一覧・価格の目安・税金の試算の3つは先に集められます。

相続した不動産の売却で、相談先が分かれる理由

相続した不動産の売却とは、亡くなった方の名義の土地・建物を、相続人の名義に移したうえで第三者に売ることです。この流れには「税金」「名義」「価格と買い手」という別々の専門分野が入っています。そのため、1か所に相談しても、そこが得意な分野以外は「それは別の先生に聞いてください」と言われることがよくあります。

相談先選びで迷う時間を減らすには、いま自分が困っているのは3つのうちどれかを先に言葉にすることです。「いくらで売れるか分からない」は価格の話、「兄弟の名義のままで売れるのか」は名義の話、「売ったら税金がいくらかかるのか」は税金の話です。全部が絡み合っていて切り分けられないときは、まとめて受け付ける窓口型のサービスを入口にする方法もあります。

相談先4つの比較表:何を聞けて、何は聞けないか

下の表は、売却の場面で登場する相談先の役割を、聞けることと別の相談先に回ることに分けて並べたものです。費用や対応範囲は事務所・会社ごとに違うため、申し込む前に必ず確認してください。

相談先主に聞けること別の相談先に回ること相談するタイミング
税理士相続税の申告が必要か、売却したときの譲渡所得の税金、使える特例の要件と期限名義変更の手続き、売り出し価格の決め方相続税の申告が必要そうなとき/売る前に手取りを知りたいとき
司法書士相続登記(相続人名義への変更)、遺産分割協議書の作り方、必要な戸籍の集め方税金の計算、価格の判断売買の契約より前(買主へ名義を移す前提として、相続人名義の登記が必要になる)
不動産会社査定額(いくらで売れそうか)、仲介か買取か、売れるまでの期間、残置物や解体の要否税金の確定的な計算、登記の申請売るかどうか迷っている段階から(価格の目安がないと家族の話し合いが進まない)
相続のワンストップ窓口手続きの全体像と順番の整理、各専門家への振り分け窓口ごとに範囲が違う(どこまでが無料か要確認)何から手を付けるか分からないとき/相続人が遠方に散っているとき

相続人どうしの話し合いそのものが進まない場合は、相談先より先に「何の数字が揃っていないか」を確認すると止まっている場所が分かります。詳しくは相続した実家の話し合いが止まる理由(分け方より先に揃える3つの数字)で整理しています。

期限から逆算する相談の順番

相続した不動産の売却では、期限のある手続きと、期限内に売ると税金が軽くなる特例が重なります。主なものを一次資料で確認すると次のとおりです(2026年10月時点で各ページを確認)。

期限内容主な相談先一次資料
亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内相続税の申告と納税(財産の合計が基礎控除以下なら申告不要)税理士国税庁 No.4205
相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで相続税を払った人が相続財産を売ると、払った相続税の一部を取得費に加算できる特例税理士国税庁 No.3267
相続で取得したことを知った日から3年以内(2024年4月1日より前の相続は2027年3月31日まで)相続登記の申請義務。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の可能性司法書士・法務局法務省 相続登記の申請義務化Q&A
2027年12月31日までの譲渡(制度の適用期間)亡くなった方が1人で住んでいた家(1981年5月31日以前の建築など要件あり)と敷地を売ったとき、譲渡所得から最高3,000万円(相続人3人以上は2,000万円)を控除できる特例税理士国税庁 No.3306

この表から、相談の順番はおおむね次のようになります。

  1. 相続税の申告が要るかを確かめる(税理士):要るなら10か月の期限が最優先。要らなければ、取得費加算の特例(No.3267)は使えない(相続税が課税されていることが要件)ので、売却の時期の考え方が変わります。
  2. 価格の目安を取る(不動産会社):査定額がないと、売るか持つか、誰が取得するかの話し合いが進みません。
  3. 誰の名義にして売るかを決め、相続登記をする(司法書士):売買契約の前に済ませておくのが一般的な流れです。期限と、今すぐ確認する項目は相続登記の期限は2027年3月31日|実家・空き家で今すぐ確認する5項目にまとめています。
  4. 売り方を決めて売り出す(不動産会社):仲介で時間をかけて売るか、買取で早く確実に手放すか。
  5. 売った翌年に確定申告(税理士):特例を使うなら申告が必要です。

空き家の3,000万円控除の要件と期限は、相続した実家を売るなら3年目の年末まで(空き家3,000万円控除の要件と期限)で詳しく扱っています。

家族の合意がまだでも、先に集められる3つのもの

「兄弟の意見がまとまってから相談しよう」と考えると、期限だけが進みます。合意がなくても、次の3つは1人で集め始められます。

  • 財産の一覧:固定資産税の納税通知書(課税明細)、登記簿(登記事項証明書)、預貯金・借入の概要。不動産以外も含めて相続税の申告が要るかの判断材料になります。
  • 価格の目安:不動産会社の査定。1社だけだと高い・安いが判断できないため、仲介と買取の両方の見方を聞いておくと比べやすくなります。
  • 税金の試算:「いま売った場合」と「特例の期限内に売った場合」の手取りの差。この差が分かると、急ぐべきかどうかを家族に数字で説明できます。

売る・貸す・解体するの3択で迷っている段階なら、実家をどうするか決められないとき、先に置く3つの数字から読むと判断の順番がつかめます。

相談先を選ぶときの判断の分岐

状況によって、最初の1か所は変わります。次の分岐で当てはまるものから選んでください。

  • 財産の合計が大きく、相続税の申告が要りそう → 税理士から。売却の時期と特例を一緒に設計できます。
  • 相続税はかからなそうだが、名義が亡くなった方のまま → 司法書士から。登記が済まないと売買の段取りが組めません。
  • 手続きより「いくらで売れるか」が分からず家族の話が進まない → 不動産会社の査定から。
  • 何から手を付けるか分からない/相続人が遠方に分かれている → 手続きを横断して整理してくれる窓口型のサービスを入口にし、必要な専門家に振り分けてもらう。
  • 古い・傷んでいて売れるか分からない → 仲介と買取の両方を扱う会社に、両方の手取りを出してもらう。空き家が売れない原因は4つも参考になります。
  • 建物は親の名義だが、土地は地主から借りている(借地) → 第三者へ売るには原則として地主の承諾が要るため、相談先を選ぶ前に地主との契約内容を確認する。承諾が得られないときの裁判所の許可も含め、相続した借地権の家を売るで順番を整理しています。

相談するときに聞く質問の文例

初回の相談で聞き漏れがあると、2回目の予約までに時間が空きます。相談先ごとに、そのまま使える質問を並べました。

税理士に聞くこと

  • 「この財産の内容で、相続税の申告は必要になりそうですか。必要なら期限はいつですか」
  • 「この不動産を売った場合、いつまでに売れば取得費加算や3,000万円控除の対象になりますか。要件で足りていないものはありますか」
  • 「相続税の申告と、売却した翌年の確定申告を両方お願いした場合、費用はどう決まりますか」

司法書士に聞くこと

  • 「売る予定ですが、誰の名義で相続登記をするのがよいですか。共有にした場合、売るときに何が必要になりますか」
  • 「必要な戸籍や書類のうち、自分で集めるものと依頼できるものはどれですか」

不動産会社に聞くこと

  • 「仲介で売った場合と買取の場合で、手元に残る金額と引き渡しまでの期間はそれぞれどのくらいですか」
  • 「家財が残ったままでも査定・売却できますか。解体した方がよい物件ですか」
  • 「相続登記がまだですが、査定や売り出しの準備はどこまで進められますか」

ワンストップ窓口に聞くこと

  • 「無料で相談できる範囲はどこまでで、費用が発生するのはどの時点からですか」
  • 「実際に対応するのは誰(税理士・司法書士・不動産会社の担当者)ですか」

よくある質問

相続登記が済んでいなくても、不動産会社に査定を頼めますか?

査定の依頼自体は、登記の前でも受け付けている会社が多くあります。ただし売買契約や引き渡しの前には相続人名義への登記が必要になるのが一般的なので、査定と並行して司法書士への相談も進めておくと、買い手が見つかってから待たせずに済みます。

相続税がかからない場合でも、税理士に相談した方がよいですか?

相続税の申告が不要でも、売却で利益が出れば翌年に譲渡所得の申告が必要になることがあります。空き家の3,000万円控除のように要件と期限がある特例を使う可能性があるなら、売る前に一度確認しておくと安心です(国税庁 No.3306)。

兄弟の1人が売却に反対しています。それでも相談は進められますか?

財産の一覧・価格の目安・税金の試算は、合意がなくても集められます。反対の理由が「安く売られたくない」「思い出がある」「自分が住みたい」のどれかによって打ち手が変わるため、まず数字を揃えて共有することが話し合いの出発点になります。

相続登記を3年以内にしないと、どうなりますか?

法務省のQ&Aでは、正当な理由なく相続登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があるとされています。2024年4月1日より前に相続した不動産も対象で、その場合の期限は2027年3月31日です(法務省)。

まとめ:相談先は「困りごとの種類」と「期限」で決める

相続した不動産を売るときは、税金は税理士、名義は司法書士、価格と売り方は不動産会社と、困りごとの種類で相談先が決まります。順番は、相続税の申告期限(10か月)と、売却時の特例の期限から逆算して決めてください。何から手を付けるか分からないときは、財産の一覧・価格の目安・税金の試算の3つを集めるところから始めると、どの相談先に行っても話が早く進みます。

実家・空き家の相続で、名義・費用・売る/貸す/解体・管理をどの順で考えるかの全体像は、実家・空き家を相続したら何から?(判断の順番ガイド)にまとめています。

参照した一次資料(2026年10月28日確認):国税庁 No.4205 相続税の申告と納税/国税庁 No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例/国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例/法務省 相続登記の申請義務化に関するQ&A。制度の適用は個別の事情で変わるため、最終的な判断は専門家に確認してください。

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