実家をどうするか決められないとき、先に置く3つの数字|売る・貸す・解体の分岐

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実家が空いた。あるいは、そろそろ空きそうだ。

売るか、貸すか、解体するか、何かに使うか。この4つを同時に考えると、たいてい決まりません。決める前に、先に3つの数字を置いてください。その3つが出ると、選択肢は自動的に2つまで減ります。

決まらない理由は情報不足ではなく、順番が逆になっていることがほとんどです。

なぜ決まらないのか——用途から入っているから

多くの人はまず「何に使えるか」を考えます。カフェにできないか、民泊にできないか、地域の集まりの場にできないか。アイデアから入る。

実務の順番は逆です。先に置くべき数字が3つあり、それが出てから用途を考えると、選べる道は勝手に絞られます。

① 何もしなかった場合、1年でいくら出ていくか

固定資産税、火災保険、電気と水道の基本料、草刈りや点検を人に頼む費用。遠方なら年に数回の交通費。これらを全部足して1年あたりの金額を出します。多くの実家で年に十数万円から数十万円になります。5年放置すれば、その5倍が確定で出ていきます。

項目 年額(自分の物件で記入) 調べ方
固定資産税 毎年届く課税明細書
火災保険 保険証券の年払額
電気・水道の基本料 検針票(使っていなくても基本料はかかる)
草刈り・点検を人に頼む費用 地元の業者やシルバー人材センターに見積もり
交通費(遠方の場合) 年に何回行くか × 往復
合計=1年で出ていく額 これが「決めない」の値段

こちらで金額を例示しないのは、物件によって桁が変わるからです。都市部か過疎地か、敷地が広いか、遠方かで合計は大きく違います。自分の書類を見て埋めてください。

決めないことにも値段がついています。無料で待つのではなく、毎年お金を払って待つことになります。

⚠️ 建物を解体して更地にすると、住宅用地の特例が外れて土地の固定資産税が上がる場合があります。金額は自治体と土地の条件で変わるので、必ず自分の課税明細と自治体の窓口で確認してください。ネットで見た倍率で計算すると後で合わなくなります。

② 借り手・買い手が実際にいるか

これが2番目です。用途より先に来ます。

貸す場合の調べ方

  • その市区町村の賃貸ポータルで、同じくらいの広さ・築年数の物件を検索する
  • いま何件出ていて、いくらで、いつから載っているかを見る
  • 3ヶ月前から載り続けている物件が並んでいるなら、その価格帯では借り手が付いていない

売る場合の調べ方

  • 国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で、物件のある地域を調べる
  • 売り出し価格ではなく成約価格(実際に取引が成立した価格)を見る

ここで「近隣に借り手・買い手がいない」と分かったら、①の金額と合わせて売却か解体が現実的な線として浮かびます。条件次第でいそうなら③に進みます。

③ 使える状態にするのにいくらかかり、何年で戻るか

外から見えない4項目

雨漏り、シロアリ、給排水、電気。この4つは外から見て分からないのに金額が大きい項目です。見積もりを取る前に「たぶん200万くらい」で話が進んでいる案件は、実際に開けると倍になることが多い。この4項目は必ず専門家に見てもらってから金額を置いてください。

回収年数で成立を判断する

②で見た賃料の実勢に対して、直した費用が回収できる年数を割り算します。

例(金額は計算の形を示すための仮の値です):直す費用が300万円、月賃料が8万円なら、年間の回収は8万円×12ヶ月=96万円。回収年数は300万円÷96万円=約3.1年。

10年を大きく超えるなら、その用途は成立していません。持ち主の年齢や、次の世代に渡すかどうかによっては、7年でも長い場合があります。

3つを置いた後の分岐

① 年額 ② 借り手・買い手 ③ 直す費用 現実的な選択
大きい いない 売却か解体を先に検討(待つコストが大きい)
大きい いる 高い 売却を検討(直す費用と年額のバランスが悪い)
小さい いる 見合う 貸す。直すかどうかは③の回収年数で決める
特定の用途にだけいる(事業者・団体) ここで初めて活用の企画が意味を持つ

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よくある質問

Q1. 更地にすると税金は本当に上がりますか?

住宅用地の特例が外れて上がる場合がありますが、いくら上がるかは土地の条件と自治体で変わります。課税明細を持って自治体の窓口で確認してください。

Q2. ネットで見た相場は当てになりますか?

売り出し価格は参考値です。見るべきは成約価格と、いま載っている物件の掲載期間。3ヶ月以上載っている物件があるなら、その価格では動いていないという合図です。

Q3. お金をかけずにどこまでできますか?

①と②は無料でできます。課税明細は手元にあり、賃貸ポータルと不動産情報ライブラリは無料です。費用がかかるのは③の見積もりからで、それも複数社から取るのが前提です。

Q4. どのくらいの期間で判断すればいいですか?

①は手元の書類ですぐ出ます。②も調べるだけなら数日です。時間がかかるのは③(見積もり)と、家族の合意です。迷いが長引いているときは、判断材料が足りないのではなく、家族の意思が確認できていないことが多いので、そちらを先に片付けてください。

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