空き家の維持費は年間いくら?国交省調査と8項目チェック表

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結論:空き家の年間維持費は「全国の相場」ではなく、自分の納税通知書・保険証券・直近12か月の請求書から8項目で出します。まず毎年の支出と一度きりの支出を分け、金額が分からない項目は0円にせず「要確認」と残してください。

空き家の年間負担は、納税通知書や保険証券、管理の請求書を集めて確認できます。この記事では、相続した実家を保有中の方が、毎年続く費用と一度きりの支出を分けるための8項目を整理します。

参考として、国土交通省の令和6年空き家所有者実態調査では、年間の維持管理費が5万円未満の割合は、費用なしを含め約半数でした。これは世帯が所有する複数種類の空き家を集計した分布で、相続した実家だけの相場や、必要な管理を行うための予算を示すものではありません。

空き家を残すか、貸すか、売るかを考えるなら、固定資産税だけでなく、保険、電気・水道、見回り、草刈り、設備の点検なども確認します。まず直近12か月の請求書と契約を集め、「実際に払った金額」「見積り」「未確認」を分けましょう。金額が分からない項目は0円にせず、「要確認」と残してください。相続から管理・売却までの全体の順番は、実家・空き家を相続したら何から?順番で読むガイドにまとめています。

まず「毎年の支出」と「今年だけの支出」を分ける

空き家の費用を一つの合計にすると、毎年続く負担と、今年だけ発生した修繕が混ざります。売る・貸す・残すを比べる前に、費用を次の3種類に分けます。

  • 毎年または毎月続く支出:税、保険、光熱費、管理契約など
  • 周期的な支出:草刈り、排水設備の点検、屋根・外壁の点検など
  • 一度だけ・発生時だけの支出:修理、撤去、家財処分、災害復旧など

周期的な作業は、直近の請求額と実施間隔を記録します。年額へ換算する場合も、業者の見積りや実績がない数字を入れないでください。売却代金や賃料収入も、維持費の欄には混ぜず、別に比較します。

調査で見る全国分布:5万円未満は約半数

国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」(2025年8月公表)は、年間維持管理費の区分を公表しています。全体では5万円未満の区分を合計すると47.8%(約半数)で、「費用はかかっていない」は12.1%でした。単独の区分では「10万〜20万円未満」が16.7%と最も高くなっています。

調査区分 割合
費用はかかっていない 12.1%
1万円未満 10.6%
1万〜3万円未満 14.1%
3万〜5万円未満 11.0%
5万〜10万円未満 15.6%
10万〜20万円未満 16.7%
20万〜30万円未満 8.5%
30万円以上 8.5%
不明 2.9%

出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」冊子p.89、図表4-74(PDFの93ページ目)。5万円未満の47.8%は、上の最初の4区分の公表割合を合計した値です。小計のため、表の各区分へ重ねて足しません。

調査には貸家用・売却用・二次的住宅や別荘用なども含まれ、法人・団体等が所有する空き家は含まれません。平均額や相続した実家だけの見積額ではなく、費用が少ないことが管理の十分さを示すわけでもありません。

調査の費用定義は、管理委託料、電話・ガス・水道等の契約費、交通費、税金などです。共同住宅や長屋では共益費・管理費、修繕積立金も含まれます(冊子p.8)。以下の記入欄は、調査への回答を再現する表ではなく、自分の現金支出を整理する表です。保険や都度修繕も確認し、毎年の費用と一度きりの支出を分けます。

年間負担を確認する8項目

項目 確認する資料・相手 金額と一緒に確認する内容
固定資産税・都市計画税 最新の納税通知書・課税明細 実際の年税額と納期
火災・地震保険 保険証券、保険会社 現在の保険料、空き家状態の通知要否、補償条件
電気・ガス・水道 直近12か月の請求、各契約先 基本料金・使用料・契約を残す理由
通信・警備・設備契約 請求書、契約書 見守り機器、警備、通信などの継続料
見回り・換気・通水 管理会社の契約・見積り 訪問回数、作業範囲、報告方法ごとの料金
草刈り・庭木・排水 作業記録・見積書 面積、回数、回収・処分、追加作業の条件
定期点検 点検報告、点検契約 定期点検の料金。都度の修繕工事は下の一度きりの支出欄へ
空き家までの交通費 交通記録・訪問日 訪問回数と実際の交通費

借入返済、家財処分、大規模修繕などは、維持管理費と混ぜず、意思決定用の現金収支として別欄に置きます。

1. 税は納税通知書の「税額」を使う

固定資産税と都市計画税は、納税通知書・課税明細で実際の金額を確認します。住宅用地特例の率は税目で異なります。固定資産税では、小規模住宅用地(住宅1戸につき200㎡まで)の課税標準は価格の6分の1、一般住宅用地は3分の1です。都市計画税の課税標準は、それぞれ3分の1、3分の2です。

これらは土地の課税標準の特例で、土地・建物を合わせた税額が単純に6倍になるという意味ではありません。面積、評価、負担調整、自治体の軽減等により実額は異なるため、この表では自分で税率から推計せず、通知書の年税額を使います。

また、国土交通省は、管理不全空家等または特定空家等として市区町村から勧告を受けた敷地は、住宅用地特例の対象から除外されると案内しています(管理不全空家等は2023年12月施行の改正で加わった区分です)。建物を残すだけで将来の税額が確定するわけではありません。納税通知書と自治体の担当窓口で、自分の土地の区分を確認してください。特例が外れる条件の詳しい整理は、空き家の固定資産税は本当に6倍になるのかで解説しています。

2. 保険は「空き家になった後の条件」を確認する

住まなくなった後も、以前と同じ契約条件が続くとは限りません。保険会社へ、空き家になったことの通知が必要か、現在の補償がどう扱われるか、保険料と更新日を確認します。自己判断で解約したり、「修理代は保険で必ず出る」と見込んだりしないでください。保険会社に確認する項目は、空き家になった実家の火災保険|「そのまま」が一番危ない4つの理由にまとめています。

「保険で無料修理できる」と勧誘されても、契約前に保険会社へ直接確認します。火災保険を使った住宅修理契約について、消費者庁も注意喚起を出しています。

3. 光熱費は請求額と「残す理由」を一緒に記録する

電気・水道・ガスは、使用量だけでなく契約の基本料金や停止条件も確認します。使っていないからすぐ解約する、または管理のために必ず残す、と一律には決めません。給排水設備、警報・見守り機器、冬季の凍結リスク、次回の利用予定などを確認し、残す契約と止める契約を分けて検討します。迷う場合は設備の管理会社や各契約先へ問い合わせてください。

4. 管理作業は「回数・範囲・報告」をそろえて見積もる

見回りや草刈りは、年額だけを比べると作業範囲を見落とします。訪問回数、換気・通水の有無、写真報告、郵便物の扱い、刈草の回収、庭木の高さ、処分費、追加作業の料金を同じ条件にして見積りを比較します。

遠方で管理を頼む場合は、鍵の受け渡しや保管方法も確認し、暗証番号や鍵情報を公開コメント・共有表へ書かないでください。作業範囲や報告方法は、遠方の空き家管理・郵便物対応を依頼する前の確認ガイド(広告を含みます)も確認できます。草刈りを依頼する場合は、見積り前に整理する6項目と依頼先の比較ガイド(広告を含みます)も参考になります。見積り条件や広告表示はリンク先で確認してください。

5. 点検と修繕は、確定額と将来の不安を混ぜない

点検で「修理が必要」と言われたら、写真、場所、症状、緊急性、作業内容を確認します。見積りが出る前の金額は確定支出に入れず、別に「見積り待ち」と記録します。保険金や補助金も、支給決定前は収入として差し引きません。

業者から急いで契約するよう求められたときは、その場で決めず、必要に応じて消費者ホットライン188や住まいるダイヤルへ相談します。雨漏りや破損の確認方法は、空き家の雨漏りに気づいたときの記録手順で整理しています。

そのまま使える記入欄

最初に期間をそろえます。過去の実績は「____年__月〜____年__月」、今後の見込みは「____年__月〜____年__月」と、それぞれ12か月を指定してください。実績をそのまま次の年の予算にせず、契約変更や支払時期を確認します。

毎年続く支出と定期的な支出

費目 過去12か月の支払実績 今後12か月の支払見込み 根拠・支払月 状態
固定資産税・都市計画税 確認済/要確認
火災・地震保険 確認済/見積り/要確認
電気・ガス・水道 確認済/見積り/要確認
通信・警備・設備契約 確認済/見積り/要確認
見回り・換気・通水 確認済/見積り/要確認
草刈り・庭木・排水 確認済/見積り/要確認
定期点検 確認済/見積り/要確認
空き家までの交通費 確認済/見積り/要確認

請求書1枚につき、どの行に計上したか印を付けます。管理契約に草刈りや点検が含まれる場合は、別の行で同じ料金を足しません。複数年分を一括で払った保険料は、支払額と補償期間をメモし、年あたりに割った額と実際の支払額を混ぜないでください。

一度きりの支出と借入返済

費目 今後12か月の支払見込み 根拠・支払月 状態
都度の修繕・設備交換 確定/見積り/要確認
家財処分・撤去等 確定/見積り/要確認
借入返済 契約・返済予定表で確認

支出の合計方法

今後12か月の支出見込み = 上の2表に記録した、その期間に支払う予定額の合計

同じ修繕を定期支出にも一度きりの支出にも入れないでください。実績、確定した予定額、見積りは区別し、未確認項目が残る合計には「暫定・未確認○件」と添えます。補助金や保険金は支給決定前に支出から差し引きません。

毎年の負担を比べるために複数年契約などを年あたりへ換算する場合は、別に「年換算額」と記録します。たとえば5年分を一括払いした保険料の年換算額は、今年の口座から出る金額とは一致しません。

次にすること

  1. 納税通知書、保険証券、直近12か月の請求書を集める。
  2. 管理・草刈り・点検の作業回数と見積りを確認する。
  3. 金額がない項目には「要確認」と記し、0円で埋めない。
  4. まず保有中の支出表を完成させ、売却・賃貸も比較するときに必要な見積りを追加する。

売却や賃貸の条件まで確認できたら、無料の空き家現金収支整理ツールで現金の出入りを整理できます。維持費だけでは計算は完成しません。売却代金・売却費用、賃貸の初期費用・家賃・入金月数・年間運営費も必要です。分からない欄を0円で埋めず、まずこの記事の記入欄に「要確認」と残してください。

ツールの「使わず残す場合」の年間維持費は、入力額が比較年数だけ毎年続く前提です。一度だけの修繕・処分費や借入返済をそのまま年額へ足すと、実際と違う計算になります。一度きりの保有中の支出は別表で管理してください。また、現在の保有費がそのまま賃貸時の運営費になるとは限りません。

このツールは借入返済と期末の物件価値を計算に含まず、税額や相場を推定する査定でもありません。金額だけで売る・貸す・残すの有利不利を決めず、画面内の前提と注意書きを確認してください。

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よくある質問

空き家の維持費は年間いくらですか?

国土交通省の令和6年調査では、世帯が所有する空き家について、公表割合を合計すると47.8%が年間5万円未満(「費用なし」を含む)でした。最も多い区分は10万〜20万円未満です。相続した実家だけの相場や平均額ではないため、この金額を自宅の予算として使うことはできません。自宅は納税通知書、保険証券、直近12か月の請求書、管理・交通費の記録から計算します。

光熱契約はすべて止めてよいですか?

一律には決められません。設備、凍結などのリスク、見守り契約、今後の利用予定を確認してから、各契約先や管理会社へ相談します。契約を残す場合も、実際の年間料金を請求書から記録してください。

固定資産税の住宅用地特例は、空き家なら必ず外れますか?

空き家というだけで一律に決まるものではありません。国土交通省は、管理不全空家等または特定空家等として、市区町村の助言・指導に従わず勧告を受けた敷地は、住宅用地特例の対象から除外されると案内しています。個別の状況は自治体に確認してください。

草刈りや見回りの費用は、どの行に入れればいいですか?

管理会社との契約に草刈りや見回りが含まれていれば「見回り・換気・通水」の1行にまとめ、別に頼んだ草刈りだけを「草刈り・庭木・排水」に入れます。同じ請求を2つの行に入れないよう、請求書ごとに計上した行へ印を付けてください。

出典・確認日

確認日:2026年10月3日(国交省調査の分布は2026年10月29日に再照合)。税額、保険、公共料金、作業料金は個別契約・地域・建物状態を確認してください。

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