空き家になった実家の火災保険|「そのまま」が一番危ない4つの理由

親が住んでいた家を相続して、実家が空き家になった。そんなときも、親の名義で入っていた火災保険がそのまま続いていることがほとんどです。

ところが保険では、「人が住んでいるかどうか」は契約の前提そのものです。実家が人のいない家に変わった時点で、その前提はずれている可能性があります。証券を見直さないまま何年も掛け続けている方は少なくありませんが、それは思いのほか危うい状態です。

この記事では、空き家になった実家の火災保険について、確認しておくべきことを4つに整理しました。証券を1枚見つけて、保険会社か代理店に1本電話を入れる。それだけで、ずれの多くは見えてきます。

「そのまま」が危ない理由

火災保険は、建物の条件に対して設計されています。そのなかで大きな要素が「誰が、どのように建物を使っているか」という使用の実態です。

毎日人が住んでいた家と、誰も住んでいない家では、火災や水濡れが起きたときの発見の早さが違います。雨漏りに気づかないまま進むこともありますし、点検が入らなければ配線の劣化も見つかりません。保険会社は、その使用実態を前提に、保険料と補償の範囲を決めています。

したがって、建物の使われ方が変わったのに契約をそのままにしておくのは、保険会社が把握している前提と、現実がずれたままということです。その状態が続くと、いざ何かが起きたときに「話が違う」となる可能性があります。

申し込むときと、途中で変わったとき

保険は、契約者が申し出た情報にもとづいて引き受けられます。申し込みのときに建物の用途や状況を正確に伝えることが求められるのはそのためです。

それとは別に、契約した後で状況が大きく変わったときにも、保険会社に伝えることが求められる場合があります。相続で所有者が変わった、誰も住まなくなった、家財を引き払った。これらはいずれも「変わったこと」に当たり得ます。何をいつ伝える必要があるかは契約の内容によって違うので、証券を手元に置いて保険会社または代理店に確認してください。

確認すべき4つのポイント

保険証券を見つけたら、この4つを順に見てください。

① 建物の用途の欄はどうなっているか

保険証券には、建物の「用途」が書かれています。「住宅」「共同住宅」「併用住宅」といった区分です。これは、その建物が住まいとして使われているかどうかを表しています。

契約したときは「住宅」として申し出ていても、いまは誰も住んでいない。この状態がどう扱われるかは、保険会社と契約の内容によって異なります。補償の範囲が変わることもあれば、契約の切り替えを案内されることもあります。判断するのは保険会社です。まず「いま誰も住んでいない」という実態を伝えて、扱いを確認してください。

② 契約者は誰のままか

相続で建物の所有者が変わった場合、火災保険の契約者や被保険者の欄が親の名前のままになっていることがあります。

この場合、保険会社に対して、契約者が亡くなったことと、建物の所有者が変わったことを伝えて、名義の手続きを進めることになります。その過程で、建物の用途や使用状況もあらためて確認されます。手続きの順序とタイミングは保険会社によって案内が違うので、遺産分割の進み具合とあわせて相談してください。

③ 家財の補償が残っていないか

火災保険は、「建物」と「家財」の両方を対象にしていることがあります。建物は本体、家財は中身です。

親が住んでいた頃の契約には、当然のように家財の補償が付いています。ところが、家財をすべて引き払った後も、その部分の保険料を払い続けている、ということが起こります。いま家の中に何があるのかを整理したうえで、必要な範囲を保険会社に伝え直してください。不要な部分が残っていないかは、証券を見れば分かります。

④ 保険会社は、いまの実態を知っているか

①②③をまとめると、結局はここに行き着きます。保険会社が現在の実態を正しく認識している状態をつくることが目的です。

所有者が変わった、誰も住まなくなった、家財を引き払った。伝えた結果、補償が変わることもあれば、別の契約への切り替えを勧められることもあります。どちらにしても、伝えていない状態を続けるより確実です。

やることは、実質3つだけ

  • 証券を探す:片付けのとき、最初に探す書類のひとつです。契約者名、保険会社名、建物の用途、補償の内容が書かれています。証券が見当たらない場合は、保険会社からの通知や、口座からの引き落とし記録をたどって保険会社を特定します。
  • 証券を読む:全部を読む必要はありません。契約者は誰か/建物の用途はどうなっているか/建物と家財のどちらが対象か。この3点だけ押さえます。
  • 電話をかける:証券に書かれた保険会社か代理店に、「相続で所有者が変わり、いまは誰も住んでいない」と実態を伝えます。そのうえで、現在の扱いと、変更が必要かを確認します。

この3つが終わるまでは、契約をそのままにしておいて構いません。急いで解約する必要はありません。避けるべきなのは、実態を伝えないまま何年も放置することです。

出口が決まると、必要な保険も決まる

実家をどうするか——貸すのか、売るのか、解体するのか——という出口によって、必要な備えは変わります。

貸すなら、貸している状態に合った内容が要ります。売るなら、引き渡しまでの間をどうするかという話になります。解体するなら、工事の期間の扱いを確認することになります。ですから、保険を作り込むのは出口の方針が決まった後のほうが手戻りが少なくて済みます。

逆に言えば、出口が決まっていない段階では「いまの実態に合わせておく」で十分です。焦って何かを決める必要はありません。やるべきは、前提のずれをなくしておくことだけです。

出口の決め方はこちらで整理しています。

実家をどうするか決められないときに、先に置く3つの数字

よくある質問

Q1. 保険証券が見当たりません。

保険会社から届いていた通知やお知らせ、あるいは口座からの引き落とし記録を探してください。通帳から保険料の引き落としが確認できれば、保険会社名が特定できます。あとは保険会社に連絡して、契約の内容を確認してもらいます。契約者が亡くなっている場合は、その旨を伝えたうえで、相続人として照会を依頼してください。

Q2. 「空き家です」と伝えたら、いまの契約は続けられないと言われました。

まず、その理由を確認してください。理由によって、次に取れる選択肢が変わります。空き家の状態に対応した契約を案内される場合もあります。説明を受けたうえで、どうするかを決めてください。電話の場で即断する必要はありません。

Q3. 相続の手続きがまだ終わっていません。名義変更は後でもいいですか。

手続きの順序は保険会社によって案内が異なります。ただし、手続きが終わるまでの間に何かが起きた場合の扱いは、先に確認しておいてください。「いまはどういう状態なのか」を明確にしておくことが大事で、名義変更そのものを急ぐかどうかはその後の話です。

Q4. 空き家だから解約したいのですが。

解約は契約者の判断でできます。ただし「解約できるか」と「いま解約すべきか」は別の話です。売却を進めているなら引き渡しまで、貸すつもりなら貸し出し用の備えを整えてから、というように、出口とセットで考えたほうが手戻りがありません。解約を決める前に、保険会社に出口の予定を伝えて相談してください。


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