この記事の結論:移住支援金は「移住先の自治体が実施しているか」「自分が東京23区の在住・通勤要件を満たすか」「移住後の働き方が対象になるか」の3点を、家を決める前に自治体の窓口で確かめるのが先です。金額は国の上限(世帯100万円以内・単身60万円以内、18歳未満の子ども1人につき最大100万円の加算)の範囲で都道府県が決めるため、上限どおりにもらえるとは限りません。空き家の購入・改修の補助は、移住支援金とは別に市町村が設けている場合があるので、同じ窓口でまとめて聞くと漏れが減ります。
この記事は、内閣府 地方創生の「移住支援金」のページ(2026年11月2日に確認)に書かれている内容だけをもとに、空き家の購入・賃貸を考えている人が確認する順番を整理したものです。個別の市町村の金額や受付状況は、必ず移住先の窓口で確認してください。
移住支援金とは(国の制度の骨格)
移住支援金とは、東京23区に住んでいる、または東京圏から23区へ通勤している人が東京圏の外(東京圏内の条件不利地域を含む)へ移住し、起業や就業などをした場合に、都道府県・市町村が共同で支給する交付金のことです(内閣府「移住支援金」)。内閣府は「本事業は、地方公共団体が主体となって実施するもの」と説明しており、実施期間や支給額は自治体ごとに異なります。
| 項目 | 国の枠組み(内閣府の説明) | 自治体で決まること |
|---|---|---|
| 世帯 | 100万円以内 | 実際の額(都道府県が設定) |
| 単身 | 60万円以内 | 実際の額(都道府県が設定) |
| 子ども加算 | 18歳未満の世帯員1人につき最大100万円 | 加算の額 |
| 実施するか | 実施する都道府県・市町村に限る | 実施の有無・期間・支給額 |
上限額の読み方
「世帯100万円以内」「単身60万円以内」「子ども1人につき最大100万円」は、どれも上限です。内閣府の説明では、実際の額は都道府県が設定します。たとえば子ども2人の世帯の場合、国の枠組みでの上限の計算は100万円+100万円×2人=300万円ですが、これは「最大でここまで」という意味で、実際にいくらになるかは移住先の都道府県の設定次第です。また、移住支援事業を実施していない市町村へ移住した場合は対象になりません。家計の計画には、窓口で確認した実際の額を使ってください。
対象になるかを決める3つの要件
内閣府の説明では、次の①②③のすべてに当てはまる人が対象です。
- 移住元:移住直前の10年間で通算5年以上、東京23区に住んでいた、または東京圏(条件不利地域を除く)に住んで23区へ通勤していた。さらに直近1年以上は23区に在住または通勤していること。会社員としての通勤は、雇用保険の被保険者としての通勤に限られます。
- 移住先:東京圏以外の道府県、または東京圏の条件不利地域で、移住支援事業を実施している都道府県・市町村であること。
- 就業等:下の表の4つのどれかに当てはまること。
就業等の4つの型
| 型 | 内閣府の説明にある条件 | 窓口で確認すること |
|---|---|---|
| 地域の中小企業等へ就業 | 移住支援金の対象として道府県のマッチングサイトに掲載されている求人に就業(またはプロフェッショナル人材事業・先導的人材マッチング事業を利用して就業) | 応募したい求人が対象として掲載されているか |
| テレワークで業務を継続 | 自己の意思によって移住し、移住先で移住前の業務を引き続き行う | 勤務先に出してもらう書類・確認方法 |
| 市町村ごとの独自要件 | 市町村が関係人口として認め、地域の担い手となる要件を満たす | その市町村の要件の中身(市町村で異なる) |
| 起業支援金を活用 | 1年以内に起業支援金の交付決定を受けている | 起業支援金の申請時期との順番 |
自分が当てはまるかの分岐表
| 質問 | はい | いいえ |
|---|---|---|
| 直近1年以上、23区に住んでいる(または23区へ通勤している)? | 次へ | 移住元の要件を満たさない可能性が高い。窓口で確認 |
| 直前10年で通算5年以上、上の状態だった? | 次へ | 同上 |
| 移住したい市町村は実施自治体の一覧に載っている? | 次へ | その市町村では受けられない。近隣の実施自治体も比べる |
| 移住後は上の4つの型のどれかに当たる? | 申請の準備へ | 市町村の独自要件があるか窓口で確認 |
東京圏の中でも対象になる「条件不利地域」
内閣府の説明では、東京圏とは東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県のことで、移住先は原則として東京圏の外です。ただし東京圏の中でも条件不利地域への移住は対象に含まれます。条件不利地域とは、過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法・山村振興法・離島振興法・半島振興法・小笠原諸島振興開発特別措置法の対象地域を持つ市町村(政令指定都市を除く)と、平成22年から令和2年の人口減少率が10%以上の市町村のことです。内閣府のページには一都三県の該当市町村が載っており、たとえば東京都では檜原村・奥多摩町と島しょ部の町村、神奈川県では三浦市・山北町・箱根町・真鶴町・湯河原町・清川村が挙げられています。埼玉県(秩父市・飯能市など)・千葉県(銚子市・館山市・南房総市など)の一覧も同じページで確認できます。首都圏の近くで空き家を探す場合は、候補地がこの一覧に入っているかを最初に見てください。
申請までの時系列
移住支援金は「いつ」の条件が多い制度です。内閣府の説明にある期間を時系列に並べると次のとおりです。
| 時期 | 条件 |
|---|---|
| 移住直前の10年間 | 通算5年以上、23区在住または東京圏から23区へ通勤 |
| 移住直前の1年以上 | 23区に在住または通勤 |
| 転入 | 実施している市町村へ |
| 転入後1年以内 | 移住支援金を申請 |
| 申請後5年以上 | 継続して移住先市町村に居住する意思 |
| 申請から5年以内 | 移住先から転出した場合などは返還の対象 |
住まいを決める前に確認する順番
移住支援金には「転入後1年以内に申請」「申請後5年以上住み続ける意思」という条件があり、申請から5年以内に移住先から転出した場合などは返還の対象になります(全額か一部かなどの扱いは移住先の市町村に確認)。家の買い方・借り方は、この5年と一緒に考える必要があります。
- 実施自治体の一覧で、候補の市町村が載っているか確認(内閣府ページから一覧PDFを開けます)
- 市町村の移住窓口に、移住支援金と住宅系の補助(空き家改修・取得など)を同時に聞く。別々の課の制度でも、併用できるか・申請の順番に決まりがあるかを一度に確認する
- 住宅系の補助に、交付決定の前に契約や着工をしてよいかの決まりがないか確認する
- 5年住む前提で、買うか借りるかを決める。5年以内に転出する可能性があるなら、購入より賃貸から始める選択肢も比べる
- 転入後1年以内に申請。転入日と申請期限をカレンダーに入れる
空き家を「借りる」「空き家バンクで探す」「一般の売買で買う」の比べ方
| 選び方 | 向いている人 | 移住支援金との関係で注意すること |
|---|---|---|
| 賃貸から始める | 地域が合うか確かめたい/5年住めるか不安 | 申請から5年以内に移住先から転出すると返還の対象。同じ市町村の中での住み替えの扱いは窓口で確認 |
| 空き家バンクで購入・賃借 | 市町村の改修補助も使いたい | 改修補助の対象が空き家バンク登録物件に限られていないかを確認(空き家バンクに登録する前に確認する4つのこと) |
| 一般の売買で購入 | 物件を広く選びたい | 住宅系の補助の対象になるか、契約前に要件を確認 |
窓口で聞く質問の文例
- 「この市町村は移住支援金を実施していますか。今年度の受付期間と予算の残りはどうなっていますか」
- 「世帯で移住する場合の額と、18歳未満の子どもの加算額はいくらですか」
- 「テレワークで今の仕事を続ける場合、どんな書類が必要ですか」
- 「在住・通勤の要件は、どの書類で証明すればよいですか」
- 「空き家の改修(取得)補助と移住支援金は併用できますか。申請の順番に決まりはありますか」
- 「改修補助は、工事の契約前に申請が必要ですか」
- 「申請から5年以内に同じ市町村の中で引っ越す場合、返還の対象になりますか」
家を決める前のチェックリスト
- □ 候補の市町村が実施自治体の一覧に載っている
- □ 直近1年・直前10年の在住/通勤要件を、どの書類で証明するか窓口で確認した
- □ 就業等の4つの型のどれに当たるか決まっている
- □ 住宅系の補助の「契約前申請」の要否を確認した
- □ 5年以内に転出する可能性と、そのときの返還を家族で確認した
- □ 転入日と申請期限(転入後1年以内)をメモした
よくある質問
Q1. 子ども2人の世帯なら、国の上限どおり合計300万円もらえますか。
いいえ、上限どおりとは限りません。国の枠組みは世帯100万円以内・子ども1人につき最大100万円の加算で、実際の額は都道府県が決めます。実施していない市町村では受けられません。
Q2. 会社を辞めずにテレワークで移住しても対象になりますか。
内閣府の説明では「自己の意思によって移住し、移住先で移住前の業務を引き続き行うこと」が就業等の要件の一つです。必要な書類や細かな条件は移住先の都道府県・市町村に確認してください。
Q3. 移住してから家を探しても間に合いますか。
移住支援金の申請は転入後1年以内です。ただし住宅系の補助は契約前の申請が必要なことがあるため、補助を使いたいなら契約の前に窓口で確認してください。
Q4. 5年以内に引っ越したらどうなりますか。
申請から5年以内に移住先から転出した場合などは返還の対象になると内閣府は説明しています。詳しい扱いは移住先の市町村に確認してください。
移住の補助金に加えて、地域再生の事業資金を補助金の重ね取り・GK-TKスキーム・クラウドファンディングでどう組むかは地域再生ファイナンス完全ガイド|補助金重ね取り・GK-TKスキーム・クラウドファンディングで地域に資金を流す方法2026で扱っています。
まとめ:上限額より先に、5つの確認
移住支援金は、国の上限額だけを見て計画すると、実際の額とずれることがあります。①実施自治体か ②在住・通勤要件 ③就業等の要件 ④住宅系補助の契約前申請 ⑤5年の居住——の順に窓口で確かめてから、買うか借りるかを決めてください。実家や空き家の取得・管理の全体の流れは実家・空き家を相続したら何から?(順番で読むガイド)にまとめています。
一次資料:内閣府 地方創生「移住支援金」(実施自治体一覧・事業概要PDFへのリンクあり)
AI実務家コンサルタント
大智(Daichi)
- ▶2013年から不動産関連の実務に携わる
- ▶公開資料・一次資料で地方の不動産と遊休施設を読む
- ▶AIは調査と整理に使い、判断の根拠は一次資料で示す








