投稿者: daichi_admin

  • 空き家が売れない原因は4つ|業者に聞く2つの数字で、詰まっている場所が分かる

    「不動産屋に任せているのに、3ヶ月待ってもさっぱり動きません」

    こうしたご相談をよく受けます。ただ「売れない」は原因ではなく症状です。熱があるのと同じで、その奥には打つ手がまったく違う4つの原因が隠れています。原因を特定しないまま「価格を下げましょう」「写真を撮り直しましょう」と動いても、進みません。

    不動産と金融の実務を15年、物件のデューデリジェンスは30件を超えました。その中で見てきた「売れない空き家」の原因を4つに分け、確認する順番までお伝えします。

    最初に聞くべき2つの数字

    もし仲介業者に任せているなら、真っ先にこう聞いてください。

    「問い合わせは何件ありましたか。そのうち、実際に内見に来た方は何件ですか」

    この2つの数字で、あなたの空き家が動かない理由のおおよその場所が分かります。

    • 問い合わせがほぼゼロ → 価格か見え方の問題
    • 問い合わせはあるが内見がほぼゼロ → 見え方だけの問題
    • 内見も進むが買い手からの申し込みがゼロ → 物件の条件が課題

    この質問ひとつで、自分の物件がどこで詰まっているかが見えてきます。

    売れない理由は4つに分かれる

    ④ 売る主体の問題(最初に確認)

    名義が確定していない。共有者がいるのに合意を取っていない。遺産分割がまだ終わっていない。こうした状態なら、たとえ買い手が現れても、契約に進めません。

    ここを確認しないまま①②③に時間をかけるほど、その労力は無駄になります。

    確認先:法務局(登記事項証明書で名義を確認)と、相続人全員の意向確認。

    ③ 物件そのものの条件(次に確認)

    接道しているか。建て替えられるか。用途地域は何か。農地が混じっていないか。境界は確定しているか。

    こうした条件は、価格や見せ方では解決しません。ここで引っかかると、いくら安くしても、いくら写真をきれいにしても変わりません。

    確認先:空き家がある市区町村(都市計画課で接道・再建築・用途地域、農業委員会で農地かどうか)と法務局(境界)。

    ① 価格が実勢と合っていない

    「周辺の似た物件より安くしているのに」という方も多い。ただそれが、あなたの感覚であって、市場の感覚ではないかもしれません。

    確認方法は明確です。国土交通省の不動産情報ライブラリで、同じ地域・同じくらいの築年数の物件が、実際にいくらで売れているかを調べる。ここで大事なのが「売り出し価格」ではなく「成約価格」を見ることです。

    賃貸なら、市区町村の賃貸ポータルで同じ広さの物件を見て、いくらで何件出ているか、いつから出ているかを調べます。3ヶ月以上載り続けている物件が並んでいるなら、その価格帯では動いていないという信号です。

    ② 見え方の問題(最後に確認)

    問い合わせはあるのに内見が進まない。ほぼ、ここです。

    買い手は現地を見に来る前に、ネットの写真と情報だけで「見たい」「見たくない」を決めています。写真が少ない、暗い、傷を隠している、基本情報が足りない。こうした理由で一瞬で落とされます。

    直し方は明確です。外観と水回りの写真を撮り直す。傷は隠さず写す。隠された傷を見に来た買い手ほど、幻滅が大きくなります。

    確認する順番が重要

    ④ → ③ → ① → ② の順番で見てください。

    理由はシンプルです。④と③は、金額や見せ方では絶対に解決しません。だから最初に潰す。そのうえで①を調べる。値下げの選択肢が本当に必要かが見える。最後に②です。

    ④③を確認しないまま①②に時間をかけると、いくら手を打っても動きません。

    よくある質問

    Q1. 役所に聞くのは難しくないですか?

    窓口でも電話でも大丈夫です。ここで間違えやすいのが、問い合わせ先は「自分が住んでいる市区町村」ではなく「空き家がある市区町村」だという点です。自治体によって案内が違うので、まず電話して「農地かどうかを確認したい」「用途地域を知りたい」と伝えてください。必要な書類と担当窓口を教えてもらえます。

    Q2. 業者が「問い合わせ何件、内見何件」を教えてくれません

    その数字がないと、こちらは何が課題かを判断できません。まずは理由を聞いてみてください。それでも出てこないようなら、別の業者にも同じ質問をしてみる。答えの差そのものが情報になります。

    Q3. 自分で調べるのと業者に任せるのは、どちらがいいですか?

    ④③を自分で確認してから、業者に「この物件は接道OK・農地なし」という情報を伝えたうえで任せるのが最強です。業者も判断がしやすくなります。

    Q4. 4つすべてが問題ないのに売れません

    その場合は、そもそも見られている数が足りていない可能性があります。どの媒体に、どのくらいの期間、どう掲載されているのかを業者に確認してください。露出を増やせないか、売り方そのものを変えられないか、という相談に切り替えます。

    最後に

    「空き家が売れない」という状態は、一つの原因ではなく、④③①②のどこかで引っかかっている可能性が高い。原因特定がなければ、打つ手は効きません。

    あなたの空き家がどこで詰まっているのか。業者から聞いた「問い合わせ何件、内見何件」の数字と、④③①②の確認で見えてくるはずです。


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  • 空き家の借り手は「用途」ではなく「人」で探す|出会う3つの場所と、貸す前の準備

    空き家をどうするか考えるとき、多くの人は「何に使えるか」から始めます。民泊、小さなカフェ、コミュニティスペース。ですが実務では逆です。借り手は用途からではなく、人の事情から見つかります。用途が決まるのは、その出会いのあとです。

    借り手は大きく3つに分かれる

    自治体の空き家バンクや移住相談窓口を見ると、どんな人が物件を探しているのかが見えます。借り手が付く物件の多くは、次の3つのいずれかでした。

    ① その地域に戻る人

    親の介護が必要になった。実家を継ぐ必要がある。こうした「帰る理由」がある人は、築年数や見た目をそこまで吟味しません。必要なのは居住用の一軒家や小さなアパートで、手を入れる範囲は戻ってから決める人がほとんどです。

    ② その地域に移り住む人

    テレワークで都市にいなくても仕事ができるようになった、子どもの環境を変えたい、二拠点にしたい。この層は「その地域の何かがほしい」という理由を持っています。見るのは新しさや広さより生活条件——作業できる部屋があるか、学校が近いか、といった点です。

    ③ その地域で場所を探している事業者

    小さな食品製造、工房、農産物の加工所、福祉施設の分室。「この地域でこれをやる」と決めている人たちで、建物は手段です。必要な設備(給排水、電気の容量、天井高)は用途ごとに全く違い、食品製造なら保健所の許可、用途によっては建築基準法の用途変更が要ります。

    先に用途を決めると、3つとも取り逃がす

    「民泊にできるように」「小さなカフェに」と先回りして企画するのは、この3つをまとめて潰す行為になりがちです。①は「帰る場所」を、②は「生活条件」を、③は「事業に必要な設備」を見ています。企画された用途は、そのどの探し方にも引っかかりません。

    借り手と出会う3つの場所

    自治体の空き家バンク

    多くの市区町村が運営しています。登録の条件・必要書類・費用は自治体ごとに違うので、必ず窓口で確認してください。所有者を確認できる書類や物件の写真を求められることが多く、自治体によっては相続人全員の同意や自治会への加入が条件に入ることもあります。条件を揃えて登録された物件から決まっていきます。

    自治体の移住相談窓口

    ①の帰る層と②の移住層の両方が相談に来ます。窓口の職員はその地域での暮らし方をよく知っているので、「こういう条件の人が来ている」という情報から話がつながることがあります。

    商工会や地元のネットワーク

    ③の事業者は、地域にいる同業者や商工会から情報を得ることが多いです。「あの空き家、使う人いない?」という打診が、自治体より先に商工会や農業委員会に入ることもあります。

    貸す前に用意しておく3つ

    1. 写真

    外観(入り口・屋根・庭)と水回り(台所・浴室・トイレ)。そして目立つ傷や雨漏りの跡は隠さない。きれいに見せたい気持ちは分かりますが、現地で「こんなに傷んでいるのか」となると信頼が崩れます。見に来た人が「この状態なら、自分たちで直す計画が立つ」と判断できる材料を出すことが最優先です。

    2. 数字

    放置している場合に年間いくら出ていくか。同じくらいの物件に借り手・買い手がいるか。直すならどこにいくらかかるか。この3つです。借り手候補が「月いくらなら」と条件を出したときに、貸し手側にこの数字がないと交渉が進みません。

    3. 名義と契約の整理

    相続で複数人が関わっている場合は特に重要です。賃料をどこに入れるのか、修繕の判断は誰がするのか。ここが決まっていないと、候補が現れても先に進めません。

    よくある質問

    Q1. 登録すればすぐ借り手は見つかりますか?

    決まるまでの期間は立地・条件・写真の内容で大きく変わるので、目安の期間を示すことはできません。実務的に言えるのは順序のほうで、「自治体に登録したから探す」ではなく「候補が判断できる材料を揃えてから登録する」ほうが早く決まります。

    Q2. 登録に費用はかかりますか?

    無料の自治体が多いのですが、これも自治体ごとに違うので窓口で確認してください。書類の作成や写真の撮影を人に頼めば、その分の費用はかかります。

    Q3. 相続人が複数いる場合はどう進めますか?

    誰が貸主になるか、家賃をどう分けるか、修繕費を誰が持つかを先に決めます。共有物の賃貸は、貸す期間によって必要な同意(過半数か全員か)が変わる場合があるので、線引きは法務局か司法書士・弁護士に確認してください。相続人の中に判断を保留している人がいると、候補が現れても契約に進めません。

    Q4. 自分で探すのと、空き家バンクに出すのとどちらがいいですか?

    どちらが早いかは物件と地域によります。空き家バンクの利点は「その地域で物件を探している」と決めている人が見に来ることです。自分のつてで探す場合も、上の3類型のどれに当たる人なのかを意識すると声のかけ方が変わります。両方を同時に走らせても構いません。

    用途からではなく、人から考える

    地方の遊休物件で稼働率を28%から62%まで戻したときにやったのも、この逆算でした。企画を先に作るのではなく、実際に相談に来ている人に「ここまで直したら住みますか」と聞き、その範囲だけを工事する。投資も早く戻り、空室の期間も短くなります。

    用途を考えるのはそのあとです。人の事情が先——この順序を逆にしないことが、空き家を動かす最初の一歩になります。


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    実家・空き家の判断でよく一緒に読まれる記事

  • 兄弟で相続した実家を貸す前に|名義と契約で止まる2か所と進める順番

    相続した実家を貸したいのに、「誰の名義で契約するか」「どの契約にするか」で止まっている——このご相談が減りません。

    相続登記は2024年4月から義務になりましたが、登記を済ませたからといって賃貸契約まで一直線に進むわけではありません。特に兄弟で相続して共有名義になった場合、決めるべきことが絡み合います。名義が曖昧なまま借り手を探すと、契約書の段階で署名者をめぐって止まります。

    この記事では、何が止まっているのかどの順番で決めるべきかを整理します。

    まず確認するのは相続登記が済んでいるか

    2024年4月1日から相続登記は義務になりました。相続を知った日から3年以内に登記しなければ、正当な理由がない場合は10万円以下の過料の対象になり得ます。

    ただし相続登記と「賃貸に出す」は別の手続きです。登記を急ぐ本当の理由は過料ではなく、登記簿の所有者を確定しないと、その後の契約が宙に浮くことにあります。

    共有名義だと「誰が貸主か」が決まらない

    兄弟3人で相続して、実家が3人の共有名義のまま——という案件をよく見ます。ここで最初に浮上するのが「賃貸借契約の貸主を誰にするか」です。

    兄弟全員が契約書の署名欄に並ぶのか。1人が署名して他は同意書の形にするのか。持分に応じて分けるのか。どれを選ぶかは、「いつまで貸すつもりか」という出口の計画で変わります。

    貸す期間で、必要な同意が変わる

    共有物の賃貸は、期間によって法律上の扱いが分かれます。短期の賃貸(建物なら3年以内の借家契約など)は「管理行為」として共有者の過半数の同意で足りる場合があり、長期の賃貸は「処分行為」として全員の同意が必要になる場合があります。

    ただし線引きは一律ではありません。具体の判定は法務局か、司法書士・弁護士に確認してください。ここを曖昧にしたまま進めると、借り手が付いても契約書の署名者が決まらず前に進めなくなります。

    普通借家か、定期借家か

    名義が決まったら、契約の種類を選びます。

    普通借家は、期間が満了しても借り手が希望すれば更新されます。貸し手の都合だけでは終わりません。長く貸すつもりで、売る予定がない場合に向きます。

    定期借家は、契約期間の満了で必ず終わります。更新はありません。ただし書面での契約と、期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に「更新しない」旨を通知することが要件です。

    相続した実家は「いずれ売るかもしれない」「自分たちが戻るかもしれない」というケースが多く、その場合は定期借家が向きます。期間が来たら確実に取り戻せるからです。出口から逆算して契約を選ぶ、というのがここでの判断です。

    実務の順番——4ステップ

    • ① 相続登記を済ませる——期限は相続を知った日から3年。時間があっても、この段階で登記簿を確認しておくことが土台になります
    • ② 共有なら、兄弟間で1枚の覚書を書く——「誰が実務を担当するか」「家賃の分け方」「修繕費の負担」「普通借家か定期借家か」の4点。口約束にしない
    • ③ 契約の種類を決める——普通借家なら長期運用の計画、定期借家なら取り戻す時期を見通す
    • ④ 管理会社に出す——相続人が地元にいない場合は現実的な選択です。契約書の作成や更新手続きを代理してくれるかを、事前に確認します

    この4つが抜けたり前後したりすると、契約書ができても署名の段階で止まります。時間が掛かっている案件は、たいていここでつまずいています。

    よくある質問

    Q1. 相続登記がまだでも、借り手を探していいですか?

    探すこと自体は問題ありませんが、登記簿の所有者が確定していないと契約の段階で止まります。募集と並行して登記を進めるか、登記を先に済ませるかは、手続きにどれくらいかかるかを司法書士に確認してから決めてください。

    Q2. 共有の場合、管理会社とは誰が契約しますか?

    覚書で決めた貸主役の方が契約するのが一般的です。ただし共有物の賃貸である旨を明示し、他の共有者の同意が取れていることを書面で残しておきます。具体的な進め方は管理会社に相談してください。

    Q3. 普通借家だと借り手が出て行かなくなりますか?

    普通借家は更新が続きます。将来取り戻したいなら、最初から定期借家で期間を決めるほうが明確です。長く貸し続けるつもりなら普通借家で問題ありません。出口の計画で選んでください。

    Q4. 法務局に聞けば全部わかりますか?

    法務局は相続登記の手続きについて相談できます。ただし共有物の賃貸が「管理行為か処分行為か」という法律判断は、司法書士や弁護士のほうが確実です。共有者が多い、連絡が取れない人がいる、といったケースは最初から専門家に相談してください。


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    実家・空き家の判断でよく一緒に読まれる記事

  • 実家を貸すなら、直す前に借り手を探す|先にリフォームすると回収が10年を超える理由

    なぜ「先に直す」と間に合わなくなるのか

    実家や空き家を貸すとき、ほとんどの人が同じ判断を迫られます。「今すぐリフォームして借り手を探すか、それとも現況のまま貸すか」。

    結論から言うと、先にリフォームすると、たいてい資金が先に尽きます。工事代金の回収に10年以上かかるか、あるいは最後まで埋まらないか。この記事では、なぜそれが起きるのかと、防ぐには何を先にすべきかを書きます。

    「先に直す」が失敗する3つの理由

    1. 工事の内容は、借り手が決まるまで確定できない

    同じ建物でも、住居として貸すのか、事業用の事務所にするのか、人が集まる場所にするのかで、必要な工事は大きく変わります。

    特に問題になるのが建築基準法上の用途変更です。住居から事業用途に変える場合、内装だけでなく建物そのものの基準を満たす必要が出ることがあります。消防設備・避難設備の追加が求められる場合もあります。

    これらの要否は自治体の建築部局と消防に確認しないと分かりません。借り手が決まる前に工事を始めると、「おそらく住居だろう」で進めてしまい、後から事業者が決まったときにやり直しが発生します。

    2. 空室の時間が、回収年数に上乗せされる

    工事を終えた日から、お金が戻ってくるわけではありません。借り手が実際に入った日から回収が始まります。

    例(金額は計算の形を示すための仮の値です):工事に300万円かかり、月5万円で借りてくれる人がいるとすると、単純計算では60ヶ月=5年で回収できます。ただし工事が終わってから3ヶ月空室だったら、その3ヶ月は何も生みません。回収年数は5年3ヶ月になり、空室が続けば6年、7年と伸びていきます。

    その間も、固定資産税や火災保険料などの維持費は出続けます。

    3. きれいになった建物は、値下げが難しい

    心理的な話ですが、実務では本当に効きます。500万円かけて直した建物を月4万円で貸す決断は、心理的に難しい。「これだけかけたのだから」という気持ちが働いて、埋まらない賃料で待ってしまう。待っている間も維持費は出ています。結果として「安く貸すくらいなら貸さない」に陥りやすくなります。

    正しい順番——5つのステップ

    不動産と金融の実務15年、物件デューデリジェンス30件超を通じて使っている順序です。

    • 1. 現況のまま、借り手候補に見せる——汚くてもかまいません。目的は「この状態で使ってくれる人がいるか」を確かめること
    • 2. 候補から条件を集めて、用途を1つに絞る
    • 3. その用途に必要な工事だけを見積もる——ここで初めて建築部局と消防に確認する
    • 4. 工事金額と賃料で回収年数を計算する
    • 5. 合わなければ「直さない」を選ぶ——回収年数が10年を超えるなら、直さずに済む使い道(資材置き場・駐車場・倉庫など建物の状態に依存しない用途)か、売却に切り替える

    5番目が抜けている案件が多いです。「直さない」は失敗ではなく、1〜4を回した結果として正当な結論になり得ます。

    借り手の実在を確かめる方法

    「現況で見せる相手がそもそもいない」という声をよく聞きます。それ自体が大きな情報で、その地域に需要がない可能性が高いということです。

    調べ方のひとつは、自治体が出している公募やサウンディング(民間から意見を募る手続き)の資料を実際に開くことです。応募がゼロで終わった案件の条件を読むと、その地域で「通らない条件」が見えてきます。公開情報なので誰でも同じ方法で調べられます。

    よくある質問

    Q1. 借り手探しはどこに頼めばいいですか?

    地域の賃貸仲介業者に「こういう物件があるが心当たりはあるか」と打診するのが最初の一歩です。1社だけでなく複数の窓口を試してください。

    Q2. 現況で見せるのが恥ずかしい場合は?

    そこが分岐点です。「この状態でも使ってくれる人」がいるかどうかで、その物件の本当の価値が決まります。恥ずかしさを理由に先に直すと、その費用を誰が負担するのかが曖昧なまま進んでしまいます。

    Q3. 回収に10年を超えたら、貸してはいけないのですか?

    「必ずダメ」ではありませんが、実務では警告信号として扱います。10年待つ間に建物は劣化し、追加の修繕が出ます。所有者側の事情も変わります。10年を大きく超える計画なら、直さない・売る・別の使い道を探すという選択肢を真剣に検討してください。

    Q4. 自治体の公募・サウンディングはどこで見つかりますか?

    市区町村のホームページを「空き家」「活用」「募集」などで検索すると関連ページが出ることが多いです。担当課に直接「最近の募集案件はあるか」と聞くのも有効です。


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    実家・空き家の判断でよく一緒に読まれる記事

  • 実家をどうするか決められないとき、先に置く3つの数字|売る・貸す・解体の分岐

    ※本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。

    実家が空いた。あるいは、そろそろ空きそうだ。

    売るか、貸すか、解体するか、何かに使うか。この4つを同時に考えると、たいてい決まりません。決める前に、先に3つの数字を置いてください。その3つが出ると、選択肢は自動的に2つまで減ります。

    決まらない理由は情報不足ではなく、順番が逆になっていることがほとんどです。

    なぜ決まらないのか——用途から入っているから

    多くの人はまず「何に使えるか」を考えます。カフェにできないか、民泊にできないか、地域の集まりの場にできないか。アイデアから入る。

    実務の順番は逆です。先に置くべき数字が3つあり、それが出てから用途を考えると、選べる道は勝手に絞られます。

    ① 何もしなかった場合、1年でいくら出ていくか

    固定資産税、火災保険、電気と水道の基本料、草刈りや点検を人に頼む費用。遠方なら年に数回の交通費。これらを全部足して1年あたりの金額を出します。多くの実家で年に十数万円から数十万円になります。5年放置すれば、その5倍が確定で出ていきます。

    項目 年額(自分の物件で記入) 調べ方
    固定資産税 毎年届く課税明細書
    火災保険 保険証券の年払額
    電気・水道の基本料 検針票(使っていなくても基本料はかかる)
    草刈り・点検を人に頼む費用 地元の業者やシルバー人材センターに見積もり
    交通費(遠方の場合) 年に何回行くか × 往復
    合計=1年で出ていく額 これが「決めない」の値段

    こちらで金額を例示しないのは、物件によって桁が変わるからです。都市部か過疎地か、敷地が広いか、遠方かで合計は大きく違います。自分の書類を見て埋めてください。

    決めないことにも値段がついています。無料で待つのではなく、毎年お金を払って待つことになります。

    ⚠️ 建物を解体して更地にすると、住宅用地の特例が外れて土地の固定資産税が上がる場合があります。金額は自治体と土地の条件で変わるので、必ず自分の課税明細と自治体の窓口で確認してください。ネットで見た倍率で計算すると後で合わなくなります。

    ② 借り手・買い手が実際にいるか

    これが2番目です。用途より先に来ます。

    貸す場合の調べ方

    • その市区町村の賃貸ポータルで、同じくらいの広さ・築年数の物件を検索する
    • いま何件出ていて、いくらで、いつから載っているかを見る
    • 3ヶ月前から載り続けている物件が並んでいるなら、その価格帯では借り手が付いていない

    売る場合の調べ方

    • 国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で、物件のある地域を調べる
    • 売り出し価格ではなく成約価格(実際に取引が成立した価格)を見る

    ここで「近隣に借り手・買い手がいない」と分かったら、①の金額と合わせて売却か解体が現実的な線として浮かびます。条件次第でいそうなら③に進みます。

    ③ 使える状態にするのにいくらかかり、何年で戻るか

    外から見えない4項目

    雨漏り、シロアリ、給排水、電気。この4つは外から見て分からないのに金額が大きい項目です。見積もりを取る前に「たぶん200万くらい」で話が進んでいる案件は、実際に開けると倍になることが多い。この4項目は必ず専門家に見てもらってから金額を置いてください。

    回収年数で成立を判断する

    ②で見た賃料の実勢に対して、直した費用が回収できる年数を割り算します。

    例(金額は計算の形を示すための仮の値です):直す費用が300万円、月賃料が8万円なら、年間の回収は8万円×12ヶ月=96万円。回収年数は300万円÷96万円=約3.1年。

    10年を大きく超えるなら、その用途は成立していません。持ち主の年齢や、次の世代に渡すかどうかによっては、7年でも長い場合があります。

    3つを置いた後の分岐

    ① 年額 ② 借り手・買い手 ③ 直す費用 現実的な選択
    大きい いない 売却か解体を先に検討(待つコストが大きい)
    大きい いる 高い 売却を検討(直す費用と年額のバランスが悪い)
    小さい いる 見合う 貸す。直すかどうかは③の回収年数で決める
    特定の用途にだけいる(事業者・団体) ここで初めて活用の企画が意味を持つ

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    よくある質問

    Q1. 更地にすると税金は本当に上がりますか?

    住宅用地の特例が外れて上がる場合がありますが、いくら上がるかは土地の条件と自治体で変わります。課税明細を持って自治体の窓口で確認してください。

    Q2. ネットで見た相場は当てになりますか?

    売り出し価格は参考値です。見るべきは成約価格と、いま載っている物件の掲載期間。3ヶ月以上載っている物件があるなら、その価格では動いていないという合図です。

    Q3. お金をかけずにどこまでできますか?

    ①と②は無料でできます。課税明細は手元にあり、賃貸ポータルと不動産情報ライブラリは無料です。費用がかかるのは③の見積もりからで、それも複数社から取るのが前提です。

    Q4. どのくらいの期間で判断すればいいですか?

    ①は手元の書類ですぐ出ます。②も調べるだけなら数日です。時間がかかるのは③(見積もり)と、家族の合意です。迷いが長引いているときは、判断材料が足りないのではなく、家族の意思が確認できていないことが多いので、そちらを先に片付けてください。

    あわせて読む

    実家より規模の大きい遊休不動産(廃校・空き施設)については、判断の型は同じですが、行政の条件が絡みます。


    自分の物件で①〜③を置いたうえで、手を挙げる前に潰しておく20項目をまとめています。
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    実家・空き家の判断でよく一緒に読まれる記事

  • 相続した実家を売るなら3年目の年末まで|空き家3000万円控除の要件と期限

    相続した実家を売る予定なら、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度があります。ただし要件が細かく、多くの人は2つの分岐で落ちます。ひとつは売る期限。もうひとつは一度貸すと使えなくなることです。

    この記事は、自分がこの制度を使えるのかを判定できるように書いています。根拠は国税庁タックスアンサー No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」です。

    自分の物件は対象か——7つの要件チェック

    次の要件を満たすかどうかで決まります。1つでも外れると、この控除は使えません。

    • ① 昭和56年5月31日以前に建築された家屋か(区分所有建物=マンションは除外)
    • ② 相続開始の直前、被相続人が一人で住んでいたか
    • ③ 相続の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売るか(詳しくは次章)
    • ④ 売却代金が1億円以下か
    • ⑤ 売るまで事業・貸付・居住に使っていないか——ここが最大の落とし穴。相続後に貸すとこの制度は使えなくなります
    • ⑥ 売却時に耐震基準を満たすか、解体して土地だけで売るか2024年1月1日以後の譲渡は、売却後翌年2月15日までに買主が耐震改修・解体した場合も対象)
    • ⑦ 相続人が3人以上の場合は、控除額が1人あたり2,000万円になる(通常は3,000万円)

    期限の逆算——「3年目の年末」の正しい読み方

    要件③が一番わかりにくいところです。「3年以内」ではありません。3年を経過する日が属する年の、12月31日までです。

    例:相続が2024年5月15日だった場合

    • 3年を経過する日=2027年5月15日
    • その日が属する年の12月31日=2027年12月31日が期限

    つまり3年を過ぎた2027年6月でも、その年の12月31日までなら間に合います。逆に2028年1月1日以後は使えません。ここを「3年以内」と誤解すると、まだ間に合うのに諦めることになります。

    ただし実務では、契約から引き渡しまで1〜2ヶ月かかることが多いので、年末ぎりぎりを狙わず、売却活動は秋口から動くのが安全です。

    「貸す前に、売却を一度だけ真剣に検討する」順番

    要件⑤のとおり、一度貸すとこの控除は外れます。空き家にしておくと家が傷むので「とりあえず貸そう」と考えるのは自然ですが、順番としては逆です。

    1. まず売却を検討する——控除が使える間に、売る選択肢が本当に無いかを確認する。税額の試算は税理士に依頼して、手取りを把握する
    2. 売却が成立しない理由が明確な場合だけ、賃貸を検討する——手取りが合わない、買い手の見込みがない、など
    3. どちらも難しい場合に、活用や解体を考える

    この順番を飛ばして先に貸してしまうと、後から「売った方がよかった」と気づいても戻せません。

    必要な書類——被相続人居住用家屋等確認書

    確定申告でこの控除を使うには、市区町村が交付する「被相続人居住用家屋等確認書」が必要です。

    • 市区町村の担当窓口に、確認書が必要である旨を伝える
    • 自治体が指定する書類(戸籍関係の書類など)を用意する。何が必要かは自治体ごとに違うので、必ず窓口で確認する
    • 交付までにどれくらいかかるかも自治体によって違う。年末期限が近いなら、売却活動と並行して早めに動く
    • 売却した翌年の確定申告で、この書類を添付する

    よくある質問

    Q1. 売却代金から税額を計算できますか?

    この記事では税額の試算は書きません。控除後の税額は取得費や他の特例との組み合わせで変わるためです。売却価格が見えた段階で、税理士か税務署に「この価格でこの特例を使うといくらか」を聞き、そこから手取りを逆算してください。

    Q2. 耐震工事をしてから売れば対象になりますか?

    売却時に耐震基準を満たしていれば対象です。解体して土地だけで売る方法もあります。2024年1月1日以後の譲渡は、売却後翌年2月15日までに買主が耐震改修または解体した場合も対象になりました。どの方法が要件を満たすかは物件ごとに違うので、着工前に税理士と建築士に確認してください。

    Q3. 相続人が3人以上のとき、控除はどうなりますか?

    相続人が3人以上の場合、控除額は1人あたり2,000万円になります(通常は3,000万円)。誰がどう申告するかは相続登記や売買契約の当事者によって変わるので、税理士に確認してください。

    Q4. 相続から2年11ヶ月で売れば間に合いますか?

    間に合います。期限は「3年を経過する日の属する年の12月31日」なので、期限は必ず「相続から3年後」より後ろに来ます。むしろ注意すべきは逆方向で、3年を過ぎていても、その年の12月31日までなら使えるという点です。自分のケースの正確な期限は税理士か税務署で確認してください。

    制度の細部は年度で変わります

    この記事の内容は国税庁タックスアンサー No.3306 の範囲で書いています。2024年1月1日にも改正されたばかりで、今後も変わり得ます。最新の要件は必ず国税庁の該当ページと税理士で確認してください。本記事は一般的な情報提供であり、個別の判断は専門家にご相談ください。


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    実家・空き家の判断でよく一緒に読まれる記事

  • 空き家の固定資産税は本当に6倍になるのか|残しても特例が外れる新ルール

    ※本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。

    「空き家は残しておくと、解体して更地にするより固定資産税が安い」

    この話、半分は本当です。ただし残しておけば必ず安いまま、ではありません。2023年12月から新しい区分が加わり、放置しているだけで特例が外れる場合が出てきました。

    この記事は、検索で「6倍」という数字を見た人が、自分の物件で実際に何が起きるかを判定できるように書いています。

    「6倍」の本当の意味──特例が外れるということ

    人が住んでいる家がある土地には税務上の優遇があります。「小規模住宅用地」の特例で、固定資産税の課税標準が6分の1に圧縮されます。

    仕組みを数字で見ます。ここから先の金額は、計算の形を示すための仮の値です(実際の評価額は物件ごとに違います)。仮に課税標準の元になる額が60万円だとすると、特例が効いている間は6分の1の10万円として扱われます。

    建物を解体して特例が外れると、課税標準はフルの額に戻ります。先ほどの仮の値なら、10万円で計算されていたものが60万円で計算される。これが「6倍になる」と言われる中身です。税額そのものが6倍になると決まっているわけではありません。

    「6倍」はあくまで理屈上の数字

    実際にいくら上がるかは物件ごとに違います。理由は4つ。

    • 土地の評価額——同じ面積でも都市部と郊外では大きく違う
    • 面積の区分——小規模住宅用地の優遇は200㎡まで。それを超える部分は扱いが変わる
    • 都市計画税——自治体によって課税の有無と負担が異なる
    • 自治体の負担調整措置——算定ルールが自治体ごとに違う

    自分の物件でいくら増えるかは、課税明細を見て計算しないと分かりません。確認しないまま解体して、後から「こんなに上がるなら残すべきだった」となるのが最も避けたい結末です。必ず自分の課税明細書と自治体の窓口で実際の増加額を確認してください。

    残しても安いとは限らない——2023年12月からの新ルール

    2023年12月に空家等対策特別措置法が改正され、「管理不全空家」という区分が加わりました。これまでは「建物があれば特例が使える」でしたが、いまはその建物が管理されているかどうかも見られます。

    自治体から管理不全空家に指定されて勧告を受けると、解体していなくても住宅用地の特例が外れる場合があります。つまり「残す=安い」は、管理している間だけの話になりました。

    判定基準は自治体によって異なりますが、一般的には次のような状態が該当します。

    • 雨が降ると壁から水が流れ出ている
    • 雑草が隣の敷地に越境している
    • 郵便物が積み重なったままになっている
    • 窓が開きっぱなしで動物が出入りしている

    「税金が安いから残す」と決めたまま放置すると、指定されて税金は上がり、建物の傷みは進み、解体費も上がります。残すなら通風・草刈り・郵便物の確認という最小限の管理を続けることが前提になります。

    解体するなら、見積もりの前に2つ

    1. アスベスト調査の要否を確認する

    2006年以前に建てられた建物には、断熱材や天井裏に吹き付けアスベストが使われている可能性があります。含まれていると解体の手順が変わり、専門業者による除去が必要になって費用が大きく変わります。

    まず自治体の担当課や建築士に「この物件にアスベスト調査が必要か」を聞いてください。要否の判断は物件ごとに違うので、自分で決めずに窓口で確認します。必要と言われたら、調査を先にやってから見積もりを取ります。

    2. 見積もりは2社以上から書面で取る

    解体費は建物の構造・床面積・地盤・アスベストの有無・重機が入りやすいかで大きく変わります。1社だけ取って相場だと思わず、必ず2社以上から書面で取ってください。

    自治体によっては老朽空き家の除却に補助を用意しているところがあります。ある自治体とない自治体があり、条件も異なるので、見積もりと合わせて窓口で確認してから判断します。

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    判断の分岐——3つのケース

    ケース 確かめ方 次の一手
    借り手や買い手がいる 同条件の物件の募集状況と成約価格を見る 残して貸すか売る。直す場合は回収年数で判断
    借り手はいないが土地に買い手がいる 土地としての価格を確認 解体して土地で売る。年間の維持費と増税分を相殺する年数を出す
    どちらもいない 周辺の需要を確認 管理しながら時間を買う(通風・草刈り・郵便物)

    3番目の「時間を買う」は、地域の需要が変わるのを待つ、相続の世代交代が進むのを待つという意味です。いくらかかるかは遠方かどうか・敷地の広さ・人に頼むかで変わるので、実際に見積もって年額を出してください。

    よくある質問

    Q1. 兄弟で相続して管理でもめています。税金が上がるなら売るべき?

    税金だけでは決まりません。土地に買い手がいるか、名義と分割協議が済んでいるかが先です。共有名義のままだと売却も賃貸も進まないので、司法書士に相談して名義を確定させてから数字の話に入ってください。

    Q2. 親が生きている間に売るのと、相続してから売るのとで違いますか?

    違います。相続した空き家を売るときには譲渡所得の特別控除が用意されていますが、期限や建築年などの要件があり、生前の売却はこの制度の対象になりません。どちらが有利かは物件と時期で変わるので、税理士に事前相談してください。

    Q3. 駐車場にすれば管理不全を避けられますか?

    建物を解体して駐車場にすれば管理不全の対象からは外れますが、住宅用地ではなくなるので特例の扱いも変わります。実際にどう変わるかは自治体の課税担当に確認してください。管理の手間と税額の両方で比べる話です。

    Q4. 管理を業者に頼めば、指定は避けられますか?

    通風・草刈り・郵便物の3つが続いていれば、指定される可能性は下がります。ただし判定基準は自治体ごとに違うので、心配なら自治体の担当窓口に建物の状況を伝えて、いまの状態で問題があるかを確認しておくのが確実です。

    最後に

    実家や空き家の判断は、聞き伝えの「6倍」ではなく自分の物件の数字で決めます。課税明細書1枚、同条件の物件の募集状況、自治体の補助の有無。この3つを集めるだけで判断の精度が変わります。


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    実家・空き家の判断でよく一緒に読まれる記事

  • 公開資料だけで「一次診断」をやってみる|掛川市・旧原田小学校サウンディング(回答は12月4日まで)

    廃校の公募やサウンディングに手を挙げるか迷ったとき、実務で最初にやるのは「4つの数字を置く」ことです。この記事では、いま実際にサウンディング中の案件を1件選んで、公開資料だけでどこまで数字が置けるかをそのままやって見せます。

    対象は静岡県掛川市の旧原田小学校。市がサウンディング型市場調査を実施中で、調査回答の希望日は令和8年12月4日(金)です(2026年8月22日にページを開いて確認)。

    ※以下はすべて市の公開ページと統計データからの整理で、掛川市の公式見解ではありません。応募を検討する方は必ず市の資料と窓口で確認してください。

    ① 入口の数字 — 年にいくら払って持つか

    この案件は珍しく、市がFAQで貸付料の概算を先に出しています

    • 原田小を1年間全体で借りた場合の試算: 年19,087,910円(土地+建物×1.1・令和9年度に貸し付けた場合)
    • そのうえで市自身が「この額のままでは困難だと想定している」と書き、貸付料の提案も受け付けています

    入口の数字が公開されている案件は、事業者側が「いくらなら成立するか」を逆算して対話に入れます。多くの公募ではここが伏せられたまま提案を求められるので、これは検討しやすい部類です。売買価格は令和9年度以降に測量・鑑定をしてから、とされているため、いま置けるのは賃借の目線だけです。

    ② 直す数字 — 使える状態にするのに総額いくらか

    ここは公開資料だけでは置けません。築年・構造・アスベスト等の調査状況が回答を左右するためです。置けない数字は「置けない」と認め、サウンディングで聞く質問に変換します。

    • アスベスト・PCBの調査報告書はあるか。ない場合、調査費はどちらの負担か
    • 用途変更(学校→宿泊・飲食・工場等)を前提にしているか。消防・避難設備の現状図面はもらえるか
    • 屋根・外壁・設備更新の負担区分

    文部科学省の調査では、築40〜50年の学校建築で有害物質の撤去費が当初見込みの2〜3倍になる例が報告されています。②が置けないうちに用途のアイデアを固めるのが、止まる案件の典型です。

    ③ 稼ぐ数字 — 誰が、いくら、何回払うか

    年間約1,900万円の貸付料(市の試算ベース)を払うとすると、賃料負担率を売上の10%に収める業態なら年商約1.9億円、20%なら約9,500万円が必要になります。これは「地域の来客だけのBtoC」では重い水準で、市も貸付料の減額提案を受け付けている理由がここから読めます。

    エリアの数字も置いておきます(FUDOSAN DB・2026年8月時点)。

    • 掛川市の人口: 現在 約11.2万人 → 2050年推計 約9.5万人(-15.4%)
    • 住宅地の平均地価: 46,688円/m²(前年比 -0.17%)
    • 年間の不動産取引: 55件

    人口は緩やかに減るエリアです。地域内需要だけで成立させる用途より、圏外から呼べる用途・BtoB(製造・加工・倉庫・研修等)・複数収益源の組み合わせが検討の中心になります。なお業種の制限はなく、施設は一括で扱う想定と明記されています。

    ④ 戻る数字 — 改修費が何年で戻るか

    ②が未確定なので④も置けません。ただし先に決めておける撤退ラインはあります

    • 回収年数が契約期間の7割を超えるなら見送る(契約期間はサウンディングで確認)
    • 調査後の改修見積りが調査前の1.5倍を超えたら資金計画を引き直す

    現時点の一次診断

    判定: 保留(B相当)— 良い材料と、未確認の材料がはっきり分かれている案件。

    • 良い材料: 入口の数字が公開されている/市が減額提案を受け付けている/業種制限なし/回答期限まで時間がある(12月4日)
    • 未確認: ②直す数字(築年・有害物質・用途変更)/契約期間と原状回復義務(④を決める2条件)

    つまり「応募するかどうか」を今決める必要はなく、サウンディングで上の質問を聞いてから決められる、というのがこの案件の位置です。サウンディングは説明会ではなく、ここで伝えた条件が後の公募要項に反映される交渉の入口です。

    同じ4つの数字で他の案件がどうなったかは、実際に転用が続いた事例と途中で止まった事例を並べた記事にまとめています。
    廃校活用の失敗例と成功事例25選|文部科学省データで読む「転用が続く条件」 →

    自分の案件で同じ表を作りたい方へ

    この記事でやったこと(4つの数字を置く→置けない数字を質問に変換する→撤退ラインを先に決める)を、あなたの案件——廃校、空き施設、旧旅館、実家の土地建物——で行う無料の一次診断を受け付けています。フォームの5項目を埋めて送っていただければ、3営業日以内に「成立の見込み(A/B/C)・最初に確認すべき数字・正直な見送り理由」をメールで返します。

    → 一次診断(無料)はこちら: https://dai-works.com/contact/

    いま募集中の案件を探している方は、全国の公募・サウンディング情報を実際に開いて確認したまとめもどうぞ。

    廃校活用の公募・サウンディング情報まとめ【2026年8月版・関東/近畿/中部】

    この記事の手順を、自分の案件で使いたい方へ

    出典: 掛川市サウンディング型市場調査 公開ページ(2026年8月22日閲覧)/FUDOSAN DB(2026年8月・掛川市エリアプロファイル)/文部科学省「廃校施設等活用状況実態調査」。数値・条件は変更される場合があります。必ず最新の公募資料をご確認ください。

  • 廃校活用の公募・サウンディング情報まとめ【2026年8月版・全国】文科省リスト65件を実際に開いて確認した

    文部科学省は「みんなの廃校」プロジェクトで、活用先を募集中の廃校施設の一覧を毎月更新しています。ただ、この一覧は全国13地域に分かれたPDF(合計約71MB)で、検索も並び替えもできません。さらに実際に開くと、リンク切れが混じっています

    この記事では、全国12地域に掲載されていた65件の自治体ページを1件ずつ実際に開いて、いま応募できるもの、期限を切らずに受け付けているもの、すでに終了しているものを分けました。関東・近畿・中部・中国・四国・九州・北海道・東北の順に並べています。毎月、一覧が更新されたタイミングで開き直して差し替えています(最終確認: 2026年9月1日)。

    更新したら、お知らせします(無料)

    公募は不定期に出て、締切は数週間で過ぎます。次の更新で新しい案件が載ったときにお知らせが要る方は、お問い合わせフォームの「⑤いちばん知りたいこと」に 「公募更新の通知希望」 と書いて送ってください。地域の指定があれば一緒にどうぞ(例: 「東北で、宿泊転用できる規模の案件」)。営業のメールは送りません。

    気になる案件がもう決まっている方は、同じフォームから無料の一次診断もどうぞ。3営業日以内に「成立の見込み(A・B・C)」「最初に確認すべき数字」「やめたほうがいい理由があればその理由」をメールでお返しします。

    いま参加できる案件

    茨城県小美玉市|旧下吉影小学校(随時受付)

    跡地利活用に関する民間提案を募集。事前相談・図面閲覧の受付が令和8年2月25日から「随時」となっており、締切が切られていないタイプです。急がなくてよい反面、先に動いた事業者の提案が前提条件になりやすいので、関心があるなら早いほうが有利です。

    栃木県大田原市|市有財産活用民間提案制度(常時)

    個別物件の公募ではなく、市有財産全体に対して民間から提案を受け付ける常設の制度です。特定の廃校を狙うより、こうした常設窓口のほうが競合が少ないことがあります。

    今回は募集が終了していた案件(次回に備える)

    埼玉県神川町|旧渡瀬小学校(サウンディング型市場調査)

    令和7年4月に廃校となった旧渡瀬小学校(児玉郡神川町大字渡瀬540-1)について、町が民間事業者との対話を実施します。活用方針を決める前段階なので、条件がまだ固まっていない=提案が通りやすい局面です。

    • 現地見学会の申込期限:令和8年8月19日(水)17時まで
    • 現地見学会:令和8年8月21日(金)10時から
    • サウンディング参加の申込期限:令和8年8月26日(水)17時まで
    • 対話の実施:令和8年8月31日(月)〜9月3日(木)
    • 結果の公表:令和8年10月上旬を予定

    サウンディング参加の申込は2026年8月26日17時で終了。対話期間(8月31日〜9月3日)は既に申し込んだ事業者向けです。

    • 栃木県那須塩原市|旧大貫小学校ほか — 令和8年7月17日〜8月3日で受付終了
    • 茨城県龍ケ崎市|旧城南中学校・旧長戸小学校 — 令和8年5月21日〜7月17日でサウンディング終了
    • 東京都足立区|旧北鹿浜小学校 — 公募を実施したが応募期間内に事業者からの応募がなかった旨を公表。再公募の可能性がある枠
    • 栃木県栃木市|皆川中学校・寺尾中学校 — 令和8年3月31日で廃校。統合後の校舎等の利活用を検討中
    • 埼玉県日高市|学校跡地 — 事業者募集のページが令和8年4月8日更新で公開中

    終了案件を載せているのは、廃校の公募は一度で決まらないことが多いからです。足立区のように応募ゼロで流れた案件は、条件を変えて再公募されます。「前回どういう条件で、なぜ決まらなかったか」を知っている事業者が次に有利になります。

    近畿・中部も同じ方法で開きました(2026年8月22日確認)

    関東の次に人口の多い近畿(三重・京都・大阪・兵庫・和歌山)と中部(新潟・石川・福井/山梨・長野・岐阜・静岡・愛知)についても、文科省の一覧に載っていた自治体ページ37件を1件ずつ開きました。結果は、締切つきで募集中が3件、期限を切らずに受け付けているものが10件、すでに終了が9件、リンク切れが7件、ページは開けたが廃校情報に辿り着けなかったものが8件です。

    いま参加できる案件(締切が近い順)

    静岡県掛川市|原田小学校・日坂小学校(サウンディング調査)

    調査回答希望日は令和8年12月4日(金)。8月17日に始まったばかりで、いまの近畿・中部で最も時間に余裕がある案件です。

    原田小は令和7年3月に閉校済み、日坂小は令和9年3月に閉校予定。回答は調査票のメール提出かWEBフォームで、希望すれば個別対話もできます。

    このページが珍しいのは、FAQで貸付料の概算を先に出していることです。令和9年度に全体を1年間貸し付けた場合の試算として、原田小が19,087,910円/年、日坂小が22,825,691円/年(いずれも土地+建物×1.1)。市自身が「この額のままでは困難だと想定している」と書いたうえで、貸付料の提案も求めています。売買価格は令和9年度以降に測量・鑑定をしてからなので、いま出せるのは賃貸の目線だけです。業種の制限はなく、施設は一括で扱う想定です。

    この案件については、公開資料だけで4つの数字を置いた一次診断の実例を公開しています。

    期限を切らずに受け付けている案件(随時・常設)

    締切がない案件は急がなくてよい反面、先に提案した事業者の内容が前提条件になりやすいので、関心があれば早いほうが有利です。

    • 兵庫県豊岡市|旧奈佐小学校(公募型プロポーザル・随時募集) — 土地16,342.14平方メートル、校舎2棟(1967年築・耐震改修済/1987年築)と体育館(1988年築)を土地建物一括で賃貸借。貸付価格は基準額つきの自由提案。見学会は随時、資格審査のあと2か月以内に提案書を出す流れで、契約前に文科省の処分手続き(約4か月)が入ります。2025年3月4日公表のまま募集が続いているということは、まだ決まっていないということです。
    • 新潟県上越市|廃校7施設(サウンディング) — 旧大島中・牧中(令和9年3月閉校予定)・旧川上小・旧宮嶋小・旧寺野小・旧上杉小・旧美守小。対話期間(6月15日〜30日)は終了し参加は2者でしたが、「終了後もご提案を随時受け付けます」と明記され、令和8年度中に利活用希望者を募る予定とあります。次の公募の条件がこれから決まる局面です。
    • 京都市|学校跡地10校(事業者登録制) — 西陣・聚楽・待賢・教業・有隣・安寧・有済・今熊野・陶化・新洞。条件は原則として敷地全面を貸付・建物は譲渡、契約期間10年以上80年以内、事業者負担で地域の自治活動・防災拠点を整備(その部分の貸付料は減免)。対象校ごとに事業者登録を出す制度で、財務諸表2期分が必要。問い合わせは法人のみ。
    • 静岡市|廃校16箇所の一覧 — 葵区・駿河区・清水区の廃校を一覧化し、11校は施設資料PDFつき、5校は活用決定済み。2027年3月・2028年3月に廃校予定の学校も先に載せています。個別の公募ではなく、社会共有資産利活用推進課への問い合わせ窓口型です。
    • 京都府福知山市|廃校Re活用プロジェクト — 紹介中は旧上六人部小・旧明正小・旧美鈴小・旧細見小の4校。締切表記はなく、すでに活用された8校の事業者名(イチゴ農園、グループホーム、キャンプ場、物流センターなど)を並べているので、どんな用途が通ったかの参考になります。
    • 山梨県上野原市|旧西原中学校(サウンディング) — アイデア募集も現地見学も「随時」。正式な事業者公募ではないと明記されています。
    • 福井県大野市|旧上庄中学校・旧蕨生小学校 — いずれも問い合わせ先への随時提案。上庄中は土地45,032平方メートル(校舎は昭和61年築)、蕨生小は約6,000平方メートルでグラウンドは対象外(ホテルが進出予定)。改修・維持管理の経費は利用者負担と明記。
    • 新潟県阿賀町|旧三宝分小学校・旧鹿瀬小学校 — 令和6年9月30日で募集期間は終わりましたが「期限を定めず随時受付として募集を継続」。貸付または譲渡で、町条例により無償貸付等の奨励措置があります。
    • 浜松市|中山間地域の遊休財産貸付(毎月締切) — 物件ごとに毎月締切の公募型プロポーザルですが、確認時点のリストに廃校はなく、旧春野北小学校は企画提案書が出たため募集停止になっていました。廃校が追加されるかは月末ごとに見る必要があります。

    今回は募集が終了していた案件(次回に備える)

    • 大阪市東淀川区|もと西淡路小学校 — 申込受付は令和8年8月12日〜8月24日で終了しました。校舎を解体したうえで土地を事業用定期借地(49年11か月)で借り、屋体棟だけを買い取る形。貸付面積13,333.53平方メートル、第一種住居地域。災害時避難所(1,345人収容)と一時避難場所(2,200人)を新施設内に確保する条件でした。計画提案審査は9月1日、事業者決定は9月25日の予定。大規模な廃校用地で、行政が求める条件がここまで具体的に書かれた案件は参考になります——次に同種の公募が出たときの条件の目安として読めます。
    • 兵庫県三木市|旧星陽中学校 — 令和8年4月1日〜6月30日で事業者を募集したが応募なし。「地域との意見交換会等を行い、再募集に向けた調整を進めます」とあり、条件を変えた再公募の候補です(関東の足立区と同じ型)。
    • 兵庫県多可町|旧加美中学校・旧八千代中学校 — 提案書受付は令和8年7月15日で終了。予定賃借料は加美中1,404,000円/年、八千代中1,140,000円/年と先に示されていました。8月中に審査会、9月以降に議決・契約の予定。
    • 和歌山県日高川町|廃校6校 — 提案書受付 令和8年5月27日〜7月31日で終了し、結果を公表済み。6校(旧江川小・旧山野小・旧寒川第一小・旧丹生中・旧中津中・旧美山中)を一括で対話した形なので、次は校ごとの公募に分かれる可能性があります。
    • 三重県松阪市|漕代小・機殿小・東黒部小・西黒部小 — 提案受付 令和8年5月22日〜6月26日で終了。スケジュール表では結果公表「7月下旬」ですが、本文の公表欄は確認時点で「未定」のままでした。
    • 愛知県蒲郡市|西浦中学校・蒲郡西部小学校 — サウンディングは令和8年2月に終了し3月30日に結果公表。西部小は「民間での利活用を進める」方向に決定、西浦中は7月23日に住民との意見交換会(31人参加)。公募はこれからです。
    • 兵庫県南あわじ市|旧辰美中学校・旧倭文中学校 — 辰美中はサウンディング終了(3社参加、2月13日結果公表)。「興味・関心がある方については柔軟に対応」と書かれているので終了後でも連絡は受けています。倭文中は3回のプロポーザルで決まらず、市が自ら「子ども屋内遊び場施設」として整備する方向に切り替えました。民間公募が空振りすると行政用途に戻る、という例です。
    • 三重県鈴鹿市|合川小学校・天名小学校 — 令和7年のサウンディングを終え11月28日に結果公表。両校は令和8年3月末で閉校したので、次の公募を待つ段階。
    • 三重県伊勢市|旧神社小学校・旧大湊小学校 — 令和5年の公募で神社小は優先交渉権者が決定。大湊小は参加表明は出たのに提案書が出ず不調。ページに新しい募集はありません。
    • 静岡県富士市|吉原東中学校 — 令和5年のサウンディングで終了。提案一覧は公表済み。

    文科省リストのリンク切れ(近畿・中部、2026年8月22日時点の実測)

    37件のうち7件がページ削除・移動で到達できませんでした。阿賀野市、妙高市、能登町、静岡県教育委員会、丹波市、明和町、香美町です。関東(21件中4件)と同じくおよそ2割が切れています。

    さらに8件は、ページは開けるのに廃校の情報に辿り着けませんでした。小千谷市・佐久市・上田市・川根本町・白川町・舞鶴市は自治体トップページしか載っておらず、東伊豆町はドメイン自体に接続できず、与謝野町は施設カルテのPDF(2022年4月1日付)だけで募集方式や期限が読めません。「一覧に載っている=いま募集している」とは限らない、というのが近畿・中部でも同じ結論です。

    近畿・中部を見て気づいた、関東との違い

    貸付料を先に出す自治体が出てきています。 掛川市は年額の概算、多可町は予定賃借料、豊岡市は基準価格つきの自由提案。事業者側が「いくらなら成立するか」を逆算できる案件は、サウンディング段階での対話がそのまま条件交渉になります。

    応募ゼロ・不調が珍しくない。 三木市(応募なし)、伊勢市大湊小(提案書なし)、南あわじ市倭文中(3回不調のあと行政用途へ)。公募が流れた理由はページに書いてあるので、再公募を狙うなら前回の条件を読んでおくことです。

    一括サウンディングのあとに校ごとの公募が来る。 上越市(7校)、日高川町(6校)、松阪市(4校)は複数校をまとめて対話し、そのあとで個別の募集に進む設計です。いまの「終了」は、次の公募の予告として読めます。

    立場別に、見るべき数字が違います(近畿・中部の補足)

    • 自治体・公的機関の方 — 掛川市のように貸付料の概算と「この額では困難と想定」を先に開示すると、サウンディングで返ってくる提案の精度が上がります。三木市・伊勢市の不調は、条件開示の不足が原因かどうかをページから検証できます。
    • 民間事業者の方 — 大阪市東淀川区のように避難所機能(1,345人)を自前の施設に組み込む条件や、京都市のように地域の自治・防災拠点を事業者負担で整備する条件は、改修費とは別枠の固定費になります。賃料だけで採算を見ると見落とします。

    中国・四国・九州も開きました(2026年8月24日確認・31件)

    中国(鳥取・島根・岡山・広島・山口)、四国(香川・愛媛・高知)、九州1(福岡・長崎・熊本・大分・宮崎)、九州2(鹿児島)の4地域について、文科省PDFに載っている自治体ページ31件を1件ずつ開いて確認しました。到達できたのは27件、404が3件、サーバに到達できないものが1件です。

    いま締切がある案件(2件)

    宮崎県高原町|旧後川内中学校跡地——サウンディング型市場調査。現地見学会の受付は終了していますが、調査への参加受付は令和8年9月11日〜18日とこれからです。見学会が終わっていても参加できる、という前の章で書いた読み違えが起きやすい案件です。

    広島県福山市|公共施設の利活用に関する民間提案制度——廃校単独の公募ではなく公共施設全般の提案制度ですが、定時募集の枠があります。自由提案型が令和8年7月1日〜10月2日施設提示型が9月1日〜11月30日(2026年8月3日更新)。自由提案型は、こちらから施設と用途を持ち込める枠です。

    期限を切らずに受け付けている案件(6自治体)

    • 愛媛県宇和島市——「利活用等募集中の施設一覧」に7施設(曽根小、由良小と須下・平井の2分校、南部小、石応小、宇和海中)。対象は津島地区の小学校6校と宇和島地区の小学校3校・中学校1校のうち、まだ活用されていないもの。このページに締切の記載はありません
    • 広島県呉市——廃校施設のサウンディング型市場調査を随時。対象9件(旧渡子小学校ほか)。掲載日は2026年4月1日。市場性が確認できれば売却・貸付の公募に進む建て付けです。
    • 岡山県高梁市——旧平川小、旧高山小、旧西山小、旧備中中の4施設。「譲渡希望、活用アイデアがあれば問い合わせを」という常設の窓口型。
    • 山口県岩国市——貸出・売却を含む活用方法を広く募集。廃校の位置図がPDFで公開されています。
    • 熊本市南区——天明校区の4小学校(中緑・銭塘・奥古閑・川口)。提案シートをメールで送る方式で、常時受付。
    • 長崎県対馬市——利活用者を常時募集。貸付契約の開始は原則として年2回(4月1日・10月1日)なので、逆算して動く必要があります。

    終了した案件(次の公募の条件が読める)

    宮崎県高原町|旧広原小学校・旧狭野小学校跡地——提案書の募集期間は令和8年8月3日(月)〜8月31日(月)。募集は2026年8月31日で終了しました。校舎および跡地について、10〜20年程度継続できる事業のアイデアを募集する形式で、様式は町の企画課で配布・提出。受付は平日8時30分〜17時15分。

    応募がないまま流れた案件や、一度サウンディングを経た案件は、条件を変えて再公募されることがあります。前回の条件を知っている事業者が次に有利になるので、終了案件も記録しておきます。

    • 香川県坂出市——旧瀬居幼稚園・旧瀬居小・旧瀬居中・旧岩黒小中・旧櫃石小中・旧与島小・旧与島中の島しょ部7施設でサウンディング。提案書の提出期限は令和7年8月15日で、実施結果は令和7年10月以降に公表済み。
    • 福岡県久留米市——旧浮島小学校の民間事業者意向調査。受付は令和8年2月9日〜3月16日。
    • 福岡県柳川市——皮垣小学校跡地の公募型プロポーザル。受付は令和8年1月5日〜2月27日。
    • 岡山県吉備中央町——御北小学校・御北幼稚園の跡地活用に係る公募型プロポーザル(2026年5月18日)。竹荘中学校跡地は2024年3月に結果公表済み。

    開いてみて分かった、一覧そのものの不備

    一次ソースを案内するだけでは気づけない点が4つありました。案件を探している立場では、ここでつまずきます。

    • 九州1だけファイル名が変則。地域PDFは連番なのに九州1(福岡・長崎・熊本・大分・宮崎)だけ枝番付きで、連番どおりのURLは404を返します。番号順に辿ると九州1が丸ごと抜け落ちます
    • 公式PDFの中にGoogleの検索結果URLが混入。山口県岩国市の欄が、市の該当ページではなく検索エンジンの遷移URLになっています(正しい遷移先は開けます)。
    • URLが途中で切れている欄がある。福岡県みやま市はパスが途中で終わっており404です。
    • リンク切れ・接続不能が4件。広島市・岡山県総社市・みやま市が404、愛媛県愛南町はサーバに到達できませんでした(原因は未確認)。

    加えて、四国の地域区分は「香川・愛媛・高知」で徳島県の掲載がありません。鹿児島(九州2)は7件のうち5件が市町のトップページだけの掲載で、そこから廃校の募集ページに辿り着けませんでした。一覧に載っていることと、応募できることは別です。

    北海道・東北も開いて、これで全12地域が揃いました(2026年8月24日確認)

    残っていた北海道・東北1(青森・岩手・宮城)・東北2(秋田・山形・福島)の34件も1件ずつ開きました。これで文科省が公開している地域別12ファイルすべてを確認したことになります。通算で65件のうち、開けなかったものが12件(18.5%)ありました。

    北海道・東北に「締切が生きている案件」はありませんでした

    34件を確認した結果、締切が未来の案件はゼロです。動けるのは期限を切らずに受け付けている常設型だけでした。

    • 北海道——稚内市、旭川市、本別町、そして北海道教育庁(道内の複数施設をまとめた窓口)が常設型。南富良野町は旧北落合小の活用ページがあります。
    • 宮城県登米市——学校移設に伴う利活用の窓口を常設。
    • 福島県伊達市・相馬市・川俣町、秋田県男鹿市——いずれも期限を切らない受付。川俣町は公有財産への民間提案制度、男鹿市は廃校舎の専用ページです。

    北海道 真狩村(旧御保内小学校)は「中断中」です。ページには提案書の提出期限が令和8年3月31日までと書かれていますが、あわせて「現在1次公募選考中のため、公募中断しております」と明記されています。提出事業者がない場合は期限を延長するとも書かれているので、選考の結果次第で再開する可能性があります。動きを見ておく価値のある案件です。

    200が返るのに応募できない、という3つ目の失敗

    ここまでは「404で開けない」「サーバに繋がらない」の2つを見てきましたが、北海道・東北ではもう1つの型が見つかりました。ページは正常に開けるのに、募集期間がすでに終わっているケースです。

    青森県三沢市の旧三川目小学校は、ページが問題なく表示され「利活用していただける企業様を募集しています」と書かれています。しかし同じページに「※募集期間 令和7年度末まで」とあり、これは2026年3月31日のことです。更新日は2025年9月2日のまま。リンクが生きていることと、応募できることは別だという最も分かりやすい例です。

    文科省の一覧はファイル名が4月1日付のまま更新されていないので、このズレは今後も出ます。締切は必ず自治体のページで確認してください。

    全国65件を開いて分かった、一覧の壊れ方

    地域確認したURL開けた404繋がらない
    北海道・東北(3地域)342671
    中国・四国・九州(4地域)312731
    合計6553102

    壊れ方には種類があります。北海道の清里町は、一覧に載っているURLが http://.town.kiyosato.hokkaido.jp/ホスト名の一部が欠けた形になっていて到達できません。正しい形に直すと問題なく開きます。案件は生きているのに、一覧のURLからは永久に辿り着けない状態です。

    また、URLから中身が読み取れるのに404になっているものがあります。岩手県宮古市の haikousyarikatuyoukibounobosyuu(廃校舎利活用希望の募集)、山形県金山町の haikourikatuyou(廃校利活用)。かつて存在した募集ページが消えたと読めます。北海道のえりも町は末尾に ?channel=. という余分な文字列が付いていました(外しても404)。

    404だったのは、士別市・えりも町・池田町(北海道)、宮古市(岩手)、西会津町・南相馬市(福島)、金山町(山形)、広島市・総社市(岡山)、みやま市(福岡)の10件。繋がらなかったのは清里町(北海道)と愛南町(愛媛)の2件です。

    文科省リストのリンク切れ(2026年8月時点の実測)

    関東分の掲載URLを開いたところ、4件がページ削除・移動で到達できませんでした(真岡市・茨城町・香取市・飯能市)。掲載自体が古い可能性があるので、これらは自治体トップから該当課を探し直す必要があります。

    また、文科省ページの表記は「令和8年8月1日現在」ですが、添付PDFのファイル名は4月1日付のままでした。一覧の鮮度は、必ず自治体側のページで確認してください。

    サウンディングを「説明会」だと思うと損をする

    廃校の案件はいきなり公募になることは少なく、多くはサウンディング型市場調査から始まります。ここを情報収集の場だと思って参加すると、もったいない。

    サウンディングは自治体が「どういう条件なら民間が手を挙げるか」を決めるための場です。つまり、この段階で伝えた条件が、後の公募要項に反映されます。賃料の考え方、原状回復義務の範囲、契約期間、改修費の負担区分——本公募になってから交渉しても動きませんが、サウンディングの段階なら動きます。

    逆に自治体側から見ると、条件を固めすぎてから公募すると応募ゼロになります。足立区の事例がまさにそれです。

    立場別に、見るべき数字が違います

    • 自治体・公的機関の方 — 応募ゼロを避ける条件設計。特に原状回復義務と契約期間は、事業者の投資回収年数と直結します
    • 民間事業者の方 — 改修費の見積り妥当性と、用途変更(建築基準法)の手続き・費用。ここの見落としが撤退理由の上位です

    廃校転用の成功・失敗事例と、その分かれ目になった数字は廃校活用の失敗例と成功事例25選で整理しています。

    応募を決める前に、20項目で潰しておく

    契約期間・原状回復義務・改修費の負担区分は、本公募になってから交渉しても動きません。サウンディングの段階で何を聞くべきかを含め、手を挙げる前の確認事項を20項目に整理しました。無料部分で「4つの数字」の置き方まで読めます。
    活用可否チェックリスト20項目(note・1,480円)→

    この案件が自分の事業として成立するかを判断したい方へ。不動産・金融の実務15年、物件デューデリジェンス30件の経験から、一次診断を行っています。転用可否の一次診断を相談する →

    出典:文部科学省「みんなの廃校」プロジェクト 現在活用用途を募集している廃校施設の一覧、および各自治体の公表ページ(2026年8月18日に個別に閲覧して確認)。応募条件・期限は変更される場合があるため、必ず各自治体の窓口にご確認ください。

    相談の前に、自分の案件で数字を置いてみたい方へ

    実務で使っている判断手順を、そのままnoteにまとめています(いずれも無料部分あり)。

  • 不動産・金融の実務家がAudibleで聴いた越境本3冊|専門外の読書が仕事を変えた

    ※本記事はプロモーション(アフィリエイトリンク)を含みます。

    不動産・金融の実務を15年やってきた人間が、最近Audibleで聴いてきた本を並べると、こうなる。サウナの本、ビールの本、人類史の本。専門とは何ひとつ関係がない。

    だが断言できる。この3冊は、専門書を100冊読むより私の仕事の視点を動かした。そして重要なのは、どれも「読むべき本リスト」からは絶対に出てこなかったということだ。耳で聴くという形式が、選書の基準そのものを緩めてくれた。本稿では、その越境の中身を具体的に書く。

    なぜ「専門外の本」が実務に効くのか

    ひとつの業界に長くいると、その業界のフレームワークが固まる。不動産なら立地・面積・利回り、金融なら金利・信用・リスク。その枠の中で考えている限り、出てくる答えは同業他社と大差ない。

    枠を壊すのは、いつも枠の外から来る。まったく違う分野が「価値とは何か」「人はなぜ金を払うのか」を別の角度から照らしたとき、自分の専門が違って見える。以下の3冊は、まさにそれを起こしてくれた本だ。

    ①『AI時代のソーシャル・サウナ』(高山成寿)——体験に人が金を払う理屈

    広告会社からスタートアップを経て起業し、フィンランド政府観光局公認のサウナアンバサダーにもなった著者が、サウナを「会社経営・人のつながりの新潮流」として捉え直す一冊だ。

    私がこの本から持ち帰ったのは、人は「ととのう」という体験そのものに金を払うという当たり前の、しかし見落としがちな事実だ。遊休不動産の再生を考えるとき、私はつい「箱(建物)をどう直すか」から入ってしまう。だがこの本を聴いてから、「ここでどんな体験が生まれるか」から発想する癖がついた。箱は体験の器にすぎない。

    タイトルに「AI時代」と入っているのも示唆的だ。AIで効率化が進むほど、身体を使う非効率な「余白」の価値がむしろ上がる——この逆説は、不動産という物理的な資産を扱う人間には、そのまま追い風の話だった。

    ②『高級ビールで日本を変える』(若林洋平)——コモディティに物語で値段がつく

    日本初のラグジュアリービール「ROCOCO Tokyo WHITE」の誕生物語だ。大企業(投資銀行や消費財メーカー)を離れた創業メンバーが、わずか数人で、発売1年で100店以上の星付きレストランに採用されるビールを作り上げた実話である。

    ビールは典型的なコモディティだ。どこでも買えるし、値段も似ている。その常識に、ブランドと物語で「一杯何千円でも飲みたい」という値付けを成立させたプロセスが、この本には詰まっている。

    金融出身の私に刺さったのは、数字とマーケティングの掛け算で「コモディティを非コモディティに変えた」という一点だ。不動産こそ、立地と面積という「スペック」だけで語られがちな、物語の余地が大きい商品だ。同じ土地でも、そこに載せる物語で価値は変わる。金融のロジックしか持っていなかった自分に、その余白を教えてくれた。

    ③『サピエンス全史』(ユヴァル・ノア・ハラリ)——価値は「共同の物語」でできている

    言わずと知れた世界的ベストセラーだ。人類が他の動物と決定的に違ったのは、「共同で虚構を信じる力」だった——貨幣も、国家も、宗教も、法人も、みなが信じるから機能する物語にすぎない、という視点で人類史を描き直す。

    金融と不動産の実務者にとって、これは足元を最も遠いところから照らす本だった。貨幣も、法人も、そして不動産の「価値」も、結局は「みなが価値があると信じているから価値がある」という共同幻想の上に乗っている。この一点を腹落ちさせてくれたことで、私は自分の仕事を一段引いた視点で見られるようになった。

    余談だが、この作品は上下巻で合計20時間を超える大作だ。紙で買えば確実に積読になっていた。だが耳なら、通勤と散歩にかぶせて数週間で完走できる。「長すぎて手が出ない名著」こそ、耳学習の独壇場だ。

    3冊に共通していたもの

    並べてみて気づく。サウナも、ビールも、人類史も、結局は「人はなぜ、そこに価値を感じるのか」を別々の角度から問う本だった。

    不動産も金融も、突き詰めれば「価値を扱う仕事」だ。その価値の源泉を、体験(サウナ)、物語(ビール)、共同幻想(人類史)という三方向から照らされたことで、私の専門の解像度は確実に上がった。専門書だけを読んでいたら、この立体感は絶対に手に入らなかった。

    この越境を可能にしたのは「耳」だった

    もう一度言うが、この3冊はどれも、私の「読むべき本リスト」には載っていなかった。書店で見かけても、レジまでは持っていかないタイプの本だ。

    それでも聴けたのは、移動や散歩にAudibleをかぶせるだけで、失うものが何もなかったからだ。耳が空いている時間に流し込むだけなら、「専門と関係あるか」を一切考えずに、好奇心のまま手を伸ばせる。この気軽さが、結果として一番仕事に効く越境を生んだ。

    Audibleは30日間の無料体験から始められる(時期により延長キャンペーンあり)。まずは自分の専門と関係ない1冊を、通勤に流し込んでみてほしい。なぜ「知見が広がる感覚」が生まれるのかは別記事で言語化したし、長い本を効率よく聴く方法無料体験の始め方と解約手順も用意している。

    専門を深めるのは専門書の仕事だ。だが、専門を「揺さぶる」のは、いつも専門外の一冊だった。

    ※本記事には提携(アフィリエイト)リンクを含みます。リンク経由で登録・購入された場合、私に紹介料が入ることがあります(あなたの支払額は変わりません)。書籍の配信状況やプラン内容は変更されることがあるため、最新情報は公式サイトでご確認ください。